Page.10「選択」
公園のベンチに腰掛けながら、クレープを食べた。
その間、フゥとシエラは何やら遊んでいたけれども。
とりあえず思うことはクレアはともかくとして、神父も一緒なのはどうかと……。
いやもう、本当に誰が得するんだよ。
神父がクレープ食べてる光景とか見てて。
なんていう俺のちょっとした愚痴はこの際置いておくとして、問題はそのあとに起こった。
……俺の両親のこともまぁ、驚いたけどそんなこと、今起きている出来事を目の前にすれば、どうでもよかった。
シエラが気付かなかったら見逃すところだったかもしれないな……。
「……どうするべきなんだろうな、あぁいうのって」
「理由は分からないですけど、あの女性を助けた方がいいのでは?……嫌がってる、みたいですし」
フゥとクレアが口々に言う。
唐突にフゥが俺の方に視線を向ける。
「……嫌な予感しかしないんだが」
「その予感、大体合ってるかもな。今回は誰も責めたりしないと思うぞ?」
……どうだか。
────一瞬、思い出したくもない光景が脳裏に浮かびそうになって、強引にその思考を停止めた。
……フゥは俺に、『仲裁に入れ』と口には出さないが、間違いなくそう言っている。
「“能力”を使いすぎて自我を飛ばしたら、さすがにマズいだろうけどな」
「そこまでのことはしねぇよ!?」
あ、この言い方だと、やる気があるヤツだと思われ────
「マジでヤバかったら俺も加勢してやるからまぁ、頑張れ」
────た。
「いや、そもそも俺、仲裁に入るなんて一言も────」
「────おにーちゃんがわるいひとをやっつけてくれるんでしょ?」
俺の言葉に被せるように、シエラが顔を輝かせながらそう言い出した。
「そうですね、このお兄さんならすぐに悪い人をやっつけちゃいますよ」
クレアもそれに便乗する。
「だから、仲裁に入るって一言も言ってないだろ……」
いや、でも。
────何もしないで後悔するより、失敗して後悔するほうがまだマシなんじゃないのか?
不意に、そんな考えが脳裏に過ぎる。
「……あぁもう、分かった。俺が行けばいいんだろ」
俺はため息を吐きつつ、そう言った。
────見て見ぬ振りをして、自分は無関係だと言い張る“傍観者”にだけは、絶対になりたくないから。