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Raison D'être  作者: 澪音
Ⅰ.すべての始まりは──── その②
12/47

Page.10「選択」

 公園のベンチに腰掛けながら、クレープを食べた。


 その(かん)、フゥとシエラは何やら()()()()()けれども。


 とりあえず思うことはクレアはともかくとして、神父も一緒なのはどうかと……。


 いやもう、本当に誰が得するんだよ。


 神父がクレープ食べてる光景とか見てて。


 なんていう俺のちょっとした愚痴はこの際置いておくとして、問題はそのあとに起こった。


 ……俺の両親のこともまぁ、驚いたけどそんなこと、今起きている出来事を目の前にすれば、どうでもよかった。


 シエラが気付かなかったら見逃すところだったかもしれないな……。


「……どうするべきなんだろうな、あぁいうのって」

「理由は分からないですけど、あの女性を助けた方がいいのでは?……嫌がってる、みたいですし」


 フゥとクレアが口々に言う。


 唐突にフゥが俺の方に視線を向ける。


「……嫌な予感しかしないんだが」

「その予感、大体合ってるかもな。()()()誰も責めたりしないと思うぞ?」


 ……どうだか。


 ────一瞬、思い出したくもない光景が脳裏に浮かびそうになって、強引にその思考を停止()めた。


 ……フゥは俺に、『仲裁に入れ』と口には出さないが、間違いなくそう言っている。


「“能力”を使いすぎて自我を飛ばしたら、さすがにマズいだろうけどな」

「そこまでのことはしねぇよ!?」


 あ、この言い方だと、やる気があるヤツだと思われ────


「マジでヤバかったら俺も加勢してやるからまぁ、頑張れ」


 ────た。


「いや、そもそも俺、仲裁に入るなんて一言も────」

「────おにーちゃんがわるいひとをやっつけてくれるんでしょ?」


 俺の言葉に被せるように、シエラが顔を輝かせながらそう言い出した。


「そうですね、このお兄さんならすぐに悪い人をやっつけちゃいますよ」


 クレアもそれに便乗する。


「だから、仲裁に入るって一言も言ってないだろ……」


 いや、でも。


 ────何もしないで後悔するより、失敗して後悔するほうがまだマシなんじゃないのか?


 不意に、そんな考えが脳裏に過ぎる。


「……あぁもう、分かった。俺が行けばいいんだろ」


 俺はため息を吐きつつ、そう言った。


 ────見て見ぬ振りをして、自分は無関係だと言い張る“傍観者”にだけは、絶対になりたくないから。

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