17. 戦闘服
色々描写しようとしたら長ったらしくなってしまいました……。後半は気力が失せて大雑把になってるかもしれません。それでも読んでいただけると幸いです。
「……きて、起きて……、起きてお姉ちゃん」
「んぅ~ふわぁ~」
「やっと起きた」
俺はエリスに起こされ目を覚ます。あれ?俺っていつの間に部屋に戻ったんだっけと考えていると脳裏にあの映像が一瞬フラッシュバックする。
「!?」
俺は一気にガバッと起き上がる。すると体に違和感を感じる。下を向くとピンク色の何かが目にはいる。ベッドから出て立ち上がると何とピンク色のネグリジェを着ていた。
「これって……」
「えへへ、気に入ってくれた? 私が選んだんだよ」
「そうなんだ、ありがとう。それと私の服は?」
エリスの好意を無下にするわけにもいかず感謝の言葉を伝え、自分の服の行方を聞く。
「ん? お姉ちゃんの服なら洗濯してるからないよ」
だいたい予想はついていた。しかし俺の服はあの1着しかない。ずっとネグリジェは絶対嫌だぞと思っていると、
「クローゼットの中にお姉ちゃんのサイズに合った服入れといたから着替えたら?」
エリスはそう言うがクローゼットの中は……もちろん女物。女の子として転生したのだからいずれは通る道。今も不本意ながらパンツは女物になっているだろう。俺はなるべくボーイッシュな感じの服を探していく。
そして服を探しだして10分後。俺はゆるめのデニムを穿きアウターを羽織る形でなんとか落ち着く。ブラジャーは着けさせられた。エリスは胸が無いので「お姉ちゃん?」……。エリスよりメイドのほうが教えるのが上手だろうと思い、着け方を教えてもらった。エ、エリスはまだ子供なのでこれからに期待だ……。いろいろあったが服の技術が元の世界とたいして変わらなかったことには驚いた。
そして俺たちは昨日と同じ所で朝食をすませる。やっぱりというべきか主食はパンだった。別に美味しくないってわけじゃないが元日本人としては米が食べたい。なんて思っていると、
「お姉ちゃんはこのあとどうするの?」
「うーん。動きやすい服を買いに行こうかなって思ってるけど……」
今の格好じゃ戦闘になったら動きづらい。部屋のクローゼットの片隅には女性専用の鎧らしきものがあったがあれもまた動きを抑制される。なので戦闘用の服が欲しかったのだが、いかんせん、
「お金がないんだよなぁ……」
そうお金がない。銀貨が9枚あるがそれだけじゃ心許ない。何着か欲しいからな。
「ん?そんなことなら少し待ってろ」
王様はそういうと部屋から出ていった。何分かすると手に袋を持って現れる。王様が歩く度に袋からジャラジャラと音が聞こえる。
「お金のことなら俺に言ってくれればいい。少ないが持っていけ」
王様は俺に袋を渡してくる。結構ずっしりとくる重さだ。なんだか嫌な予感がするので袋の中身を確認する。
「これって……」
「白金貨100枚だ」
はっ?ハッキンカヒャクマイダ?白金貨って確か1枚で100万円相当なはずだったけど。それが100枚で……
「1億円!?」
「イチオクエン?なんだそれは。やっぱり少なかったか?」
王様がかなり申し訳なさそうな顔になる。それに対して俺は土下座をする勢いで袋を返し、1枚でも十分だからという旨を伝えなんとか事が収まる。もうね、アレだね。王様たちの金銭感覚が狂ってて困るね……。
そんなことがあったがやって来ました、武具屋!普通に服屋もあるが戦闘用の服なら武具屋の方がいいと言われ昨日も行った武具屋に来た。歩くのは面倒だったので近くの路地裏に転移した。店内に入るとさっそく店の主人に会う。
「ん?昨日の姉ちゃんか。今日は何の用だ?」
「戦闘用の服を探していまして。機動性に優れたものはないですか?」
「うーん。そういえばあんたの武器は刀だったな……。ならこっちに付いてきてくれ」
主人はそういうと店の奥の方に進んでいく。俺もあとに付いて行くと、
「これがあんたにおすすめするやつだ」
「おぉ、これは……」
そこにあったのは銀◯の◯兵衛が着ているような衣装が置いてあった。ていうことはつまり、
「これも前の勇者様が創造魔法で作った衣装で刀と合わせて着るのがいいと言われている。これは1着しかないが破れても魔力を流せば修復されるし、汚れなんかもとれる。どうだ、気に入ったか?」
「はい、とても気に入りました。これをください!」
「そうかい。あんたならそう言うと思ったよ。これは金貨4枚だ」
俺は上機嫌で白金貨を渡す。おつりを貰うとき主人は「あんた、どっかの貴族か?」なんて驚いていたが俺は早く着てみたくてしょうがなかった。
店にある更衣室でさっそく着替える。髪型もポニーテールにして前髪を片方下ろす。眼帯はなかったがそこまで追求しなくてもいいだろう。靴は下駄だったが普通に走れるとのこと。何はともあれ着替え終わって鏡を見る。
「おぉ、なかなか様になってるじゃん」
鏡にはザ・侍が映っていた。空間魔法で収納していた刀を腰にぶら下げている。もちろんさっきまで着ていた服も空間魔法に入れてある。俺はニヤけてしまう顔に力を入れてキリッとした顔で更衣室を出る。
「おっ、なかなか似合ってるじゃねぇか。まぁ俺としてもそこまで喜んでもらえたんなら嬉しいかぎりだ」
「ん?それってどういう意味ですか?」
主人は微笑ましい顔で俺の腰辺りを指差す。
「あっ……」
俺もつられて指差したほうを見ると左右に大きく揺れている尻尾。つまり、俺はキリッとしたすまし顔で尻尾をこれでもかというぐらいブンブン振っていたのだ。
昨日王様にも言われていたのに……。力を入れて尻尾の動きを止める。俺は主人に礼だけして店を出る。顔はたぶん赤いだろう。
……俺ってここに来る度に恥を晒してるな。