11. 武具屋
俺は今一人で行動している。エリスは馬車の迎えが来て城に帰っていった。その際に俺を王様に紹介したいから来るよう言われたがギルドに行きたかったので断った。それでも駄々をこねるので御者さんが困っていた。俺があとで城に行くことを伝えるとしぶしぶ馬車に乗った。
馬車を見送ったあと俺はギルドの場所を聞いておけばよかったと後悔していた。誰かに聞こうと思い、近くをおばあさんが通っていたのでギルドの場所を聞くとこの通りを真っ直ぐ行くとあると答えてくれた。
俺は今その通りを歩いている。実はさっきから周りにじろじろ見られているような気がしてならない。
「キレ~イ。スタイルいいな~」
「あの娘かわいいな。お前誘ってこいよ」
「無理に決まってるだろ」
…いろいろ注目を集めてしまっている。なので身を隠すものがないか探していると武具屋があったので入ってみる。ローブ的なものとついでに武器を探しているとあるものが目にはいる。
「…刀?」
1本だけ他のものとは扱いが違う剣が置いてあった。それは紛れもなく前世の刀でどこかで見たようなデザインをしている。
「おっ、嬢ちゃん。それが気になるのかい?」
俺がその刀をずっと眺めていたので店の主人らしき人が話しかけてくる。
「これは……刀…ですよね?」
「ほう、刀のことを知ってるのか。これは前の勇者様が創造魔法で作った刀だ。名前は確か三代鬼○。斬れ味がよくて魔法を刀にのせることが出来る優れものだ」
おい!それ絶対ワン○ースのやつだろ。とか思いつつ俺はあの名シーンを再現してみることにする。
「私の運とこいつの呪い…どっちが強いか試してみようか…」
「いや、べつに呪われてないけど…」
主人の声が聞こえたが無視だ。俺は刀を上に投げ、左腕を横に出す。
「な!!!!バカなマネやめろ!!!腕が無くなる!!!斬れ味は本物だぞ!!!!」
ヒュンヒュンヒュン…トス…。刀はキレイに俺の腕を通った。そう…、見事なまでに真っ直ぐ俺の腕を突き刺し鍔の部分で止まっている。
「………」
「………」
正直かなり痛いがあまりの恥ずかしさで無言になっている。主人も驚きのあまり口を大きく開けてなにも言えずにいる。
俺は急いで刀を引き抜き、血を水魔法で洗い流し鞘に戻す。腕は不老不死のスキルのおかげか傷が治っている。
「…なにもなかった」
「えっ?」
「今ここではなにもおきていない。そうですよね、ご主人?」
「あっ、はい。そうですね…」
店の主人を威圧しながらそう言う。かなり気まずい雰囲気になっているが話を戻す。
「じゃあこの刀とこのローブを買います」
「ええっと、合わせて金貨5枚と銀貨1枚になります」
俺は袋から金貨6枚を手渡す。
「おつりの銀貨9枚です。…ありがとうございました」
店の主人はなにか言いたそうだったが結局なにも言ってこなかった。俺は買った刀を腰にぶら下げローブをはおりそそくさと店を出る。ローブの中では顔がかなり熱かった…。そして、ギルドに向けて歩き出す。