9. 妹
俺は今エリス王女達とハワード王国に向かっている。ちなみに馬車は壊されていたので徒歩だ。いい機会なのでこの世界のことを聞いている。
最初に聞いたのはステータスのことだ。チートを貰っているはずの俺の攻撃を避けた盗賊のことが気になっていたので聞いてみた。で、分かったことが
・HPの平均は1000万、多くて1億
・MPの平均は10万、多くて100万
・能力の平均はB、熟練者はA、帝クラスだとSまたはSS
・魔法は平均で2つの適正、熟練者は3~4つ
・称号はその人の身分が分かる
・スキルは人それぞれ
ということ。う~ん、HP、MPが他の人よりかなり多いことは嬉しいのだが、能力がなぁ…。機動力だけAだから、あまり他の人と変わらないのか。まぁ、スキルの九尾化使えばいいんだろうけど普通の狐人は使えないから目立ってしまう。出来るだけ目立つことは避けたい。そして、気になる単語が1つ…
「帝ってなんですか?」
「帝とは、基本魔法の7大魔法の中で1つの魔法を極めている人達のことです。火魔法を極めている帝を炎帝、水魔法を極めている帝を水帝という感じで呼ばれています。そして、7大魔法を全て使える総帝と呼ばれる帝もいます。ちなみに空間魔法は特殊魔法で他にも時間、重力、精神、制御があります」
なるほどなるほど。だいたい予想していた通りだ。他にも魔法があるってことも分かった。俺は全部の魔法が使えるわけではないようだ。時間魔法なんてかなり厄介そうだなと思いつつ次はお金のことを聞く…
「お金は小さい順で石貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨の4つで国民の平均月給が金貨1枚と銀貨5枚くらいです」
それなら、地球で換算すると金貨が10万円で銀貨が1万円くらいかな?その順番でいくと石貨が100円、銅貨が1000円で、白金貨は100万円になるのかな。そこらへんは一度買い物をしないと分からない。まぁ、今は無一文だけど。
「あっ、今運んでいる盗賊は賞金がかかっているのでお金はクラウディア様が貰ってください」
「えっ、いいの?」
「いいもなにも、クラウディア様が捕らえたのですし、今運んでいるのもクラウディア様ですので。あと口調も変えてたんですね。私も堅苦しいのは嫌だから素に戻すね」
捕まえた盗賊達は俺が空間魔法で造った空間に入れて運んでいる。人が入るか分からなかったけど入ってよかった。
そして、俺はお金が手に入ることの嬉しさでつい素で返してしまっていた。まぁエリス王女も素に戻してるしいいかということで俺も素に戻すことにする。一人称は変えたままにするけど。素に戻したことで話が進む。すると…
「私、一人っ子だったから兄弟が欲しかったんだ~。だから私のお姉ちゃんになってください」
といつの間にやら話がややこしくなっていた。俺が…
「ええっと、それはちょっと…」
と言い淀んでいると…
「いいの!?やったー!ありがとう、クラウお姉ちゃん!」
なにやら姉に認定されてしまった。許可したつもりはなかったがエリス王女の純真無垢な笑顔で別にいっかと許してしまう。
「じゃあ私のことはエリスって呼んでね!」
いきなり難易度高い要求だ。
「……エリス…王女…」
「エ・リ・ス」
王女のところはかなり小さめの声で言ったのだがバレてしまった。そんなに名前だけで呼んでほしいのだろうか…
「……エリス…」
「なーに、クラウお姉ちゃん」
「いや…なんでもない」
これはかなりいじられそうだなと思いながら森を進む。兵士達の微笑ましいものを見る目を視界に入れないようにしながら…。