プロローグ1
俺の名前は佐々木悠真。高校生だ。身長は男にしては低めで150代前半、顔は不本意ながら中性的…、どちらかと言うと女顔だ。そんな俺の今の状況は…
「俺と付き合ってください!!」
「いや、無理」
「そんな…どうして」
「どうしてもこうしても俺、男だし」
「そんなの関係無い。だからお願いします!!」
告白を受けてる最中…。しかも男から。いきなり始まった一大イベントに周りのやつらがざわめき出す。ていうか、こいつも通学路のど真ん中で告白なんかしてんじゃねぇーよ!
「俺にそんな趣味ないし。じゃあ」
慣れつつある拷問?に答え、早足でその場を離れる。後ろからはさっきの男の呼び止める声が聞こえるが無視する。
「はぁ…。朝っぱらから最悪…」
「よっ悠真!」
「ん…、潤か…」
ニヤニヤした顔で呼びかけてきたのは幼馴染みの磯貝潤。身長は170代後半、顔は…所謂イケメンだ。それにスポーツ万能、成績優秀、周りにも気が利く完璧イケメンだ。
周りにはいつも潤に好意をよせている女子がいる。まぁ、本人は小説でよくある鈍感ハーレム野郎とは違ってキッパリ断っている。それでも女子は集まってくるのだ。
「元気ないじゃないか」
いまだにニヤニヤしていやがる。こいつ…絶対さっきの見てただろ…。
「お前さっきの見てて言ってるだろ」
「ん?何のことか存じ上げませんが?」
くっ…ムカつく言い方だ。俺は何とか抵抗しようと無言でパンチする。
「ぐはっ!」
潤のやつはかなり痛がっている様子だ。しかし自分で言うのもなんだが俺はかなりひ弱なほうだ。こいつは演技しているのだが…
「!ちょっと、なにやってるのよ!」
これに反応したのが吉田亜里沙。取り巻きのグループのリーダー的存在で顔は可愛いのだが、性格がかなり歪んでいた。まぁ、潤の前では猫を被っているが…。
「潤君が痛がってるでしょ!謝りなさいよ!」
それを合図に周りの取り巻きの女子からも謝れコールが始まる。しかし…
「あー、大丈夫大丈夫。演技だから」
そんな気の抜けた声で潤が女子達を宥め始める。
「それでもこいつ、潤君に手を出したのよ!こんなやつとは絶交して私達と一緒にいましょう」
亜里沙のその言葉に潤がぴくりと反応する。
「悠真は幼馴染みで俺の親友だ!それなのに絶交だと?笑わせんなよ」
いつもの潤とは違った雰囲気に亜里沙は動揺する。
「それにいつもいつも言ってるだろ!俺の周りに集まるな!目障りだ!」
潤はそう言って下駄箱の方に向かっていった。俺もそのあとに続いて行ったが、玄関のところで一度振り返った。
取り巻きの女子は泣いている人がほとんどで、信じられないとただ呆然としている人もいる。そんな中、亜里沙がこちらを睨んでいた。その目には憎悪の念が込められていて、思わず目をそらしてしまった。俺は急いで靴を履き替えると潤のあとを追って教室に向かうのだった…。