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ヒーローデイズ1

 赤城との出会いのお話、お付き合い感謝だ。

 では最初に戻って現在、赤城との出会いから三日後へと戻ろう。 


 今日の僕は特別朝の寝起きが良くて上機嫌で一日を迎え、一緒に登校することになった赤城と学校へと向かっていた。

 なぜ赤城と僕が一緒に学校へ行くことになったかと言うと、できるならば言いたくないことであり、そして二人に共通することなのだが『一緒に行く人がいなかった』。

 もちろん友達がいないということではなく、僕だって少なからずいるし、赤城に至っては男女問わず後輩からの支持率が圧倒的に高いため、赤城の不登校を心配していた一年生やら二年生、同級生が大勢いる。だから友達の数では僕は赤城に完全敗北しているのだ。でも友達と言うのは数じゃないと僕は思っている。思いたい。信じたい。もはや希望でしかないけど。

 それでだ。なぜ赤城がその大勢の慕ってくれる友達と登校しないかと言うと、

「ありがたいけど面倒なのよ」

 とのこと。

 赤城曰く『静かなのがいいの』ということで僕と行くことになったらしい。

 いや、なんでだよ!


「ねえ、聞いてるかしら?」

「あ、ごめん。聞いてなかった」

「あなたは自分のことを全然知らないのね、と言ったのよ」


 ああそうだっけ。そうだったような。そうだったな。

 間が長くて何の話をしてたのかすら忘れかけてたぜ。


「まあ僕も何をしたらいいのかわからないまま過ごしてたからな。特別何かすることもないんだろうけどさ」

「私は今日から剣道部に復帰するわよ。ダイエットも兼ねて(なま)った腕を取り戻さなくちゃいけないから」

「そっか、結構強いんだったよな。お前に勝てる女この学校にいないんじゃないか?」

「見た目のこと? それなら確かに無敵だけれど」

「うーん、中々に自身過剰だよな、お前って」

「いえいえ、それほどでも」

「褒めてねーよ!」


 僕は自転車、赤城は徒歩と言うこともあって僕は赤城との待ち合わせ場所から学校まで歩くことになった。しかし赤城との待ち合わせ場所までは自転車で五分、学校まで自転車で十五分。自転車がもはや荷物にしかなっていない。赤城はちゃっかり自転車の前かごに荷物を入れて手ぶらだ。

 こうなると僕は自分の肩掛けカバンを肩にかけ、次第にずれてくるのを直しながら学校へ向かうことになる。夢にまで見た女子との登校もこうなってしまうとドキドキも何も無い。


「学校に復帰して――――というかずっと居たんだけど……、調子はどうなんだ?」

「順調よ。ただ今日はちょっと辛いわね」

「え? なにかあったのか?」

「生理よ」

「聞くんじゃなかったー! ごめん!」

「あら、別に生理現象なのだから気にする必要ないわよ。男子も下ネタはよく話してるじゃない」


 なんか違う……。なんというか女子の下ネタにはどこか生々しいものがある。

 男子はなんというか――――ただ口に出して笑うだけだな。


「と言っても私、下ネタにはあまり詳しくないのよね」

「あれ、女子のほうが知ってるって話はよく聞くんだけど」

「気になる子はとことん知ってるけれどね。知らない子は全然知らないのよ」

「そんな感じなのか。赤城は知らないほうなのか?」

「その質問は他の女の子にはしないほうがいいと思うわ」

「そうだな。言ってから気づいたよ」

「まぁ私は気にしないからいいけれどくれぐれも気を付けることね」

「はい……」

「あと女の子は自分の体のことだから、下ネタといっていいのかわからないけど一応の知識はあるのよ――――というよりはないと困るのよ」

「なるほど」


 学校が近くなるにつれ、天舞高校の生徒が増えていく。

 それは必然であり、それはすなわち赤城に挨拶する生徒も増えていくのである。その時の赤城は何故か僕の時とは違う『赤城スマイル』で優しく接している。


「私の態度が気に食わないようね。そうよ、私は作り笑顔をしているわ。桐名くんの夢を崩すようで悪いけれど女ってそういうものなのよ」

「うわぁ、言っちゃったよこいつ」

「悪い女に騙されないようにする私なりの優しさなんだから受け取っておきなさい」

「そりゃどうも」

「あと写真と化粧にも騙されちゃだめよ」

「なんとなくはわかるけれど」

「化粧の上手な女の人は私もすごいと思うけれど、結婚して産まれる赤ちゃんはすっぴんのお嫁さんに似るのよ」

「お前は僕の理想を壊しに来るよな」

「あら、ごめんなさい。そういうつもりはなかったのだけれど」


 そんな女性の生々しい話を聞いているうちに学校へと着いた。

 まったく、せっかく目覚めが良かったのに台無しにされた気分だぜ……。


「じゃあまた放課後ね」

「おう」


 そう僕に微笑んで赤城は校内へと歩いていく。僕は駐輪場に自転車を止めた後、取り忘れた赤城の荷物を持って教室へと向かう。本当は忘れてなんかいなくて、元々僕に持って来させるつもりだったような気がするが、それくらいは僕の優しさでカバーしてやろう。



「じゃあ帰りましょう、桐名くん」


 放課後、僕は赤城の部活が終わるまで生徒会室で時間を潰していた。

 時間を潰すと言っても仕事をしている入江を眺めて和んでいただけだったが、いつの間にか学校の閉まる時間になっていた。

 赤城はというと久々の部活を終えて汗を拭った爽やかな顔をしていて、手には竹刀を二本入れた竹刀袋を持っている。これでいつでも僕を()れるというわけか。


「入江さん――――綺麗よね」


 赤城は悪魔の微笑みを見せながらそう呟いた。

 僕が生徒会室にいたことは知らないはず。赤城と言うやつはつぐづく僕の心を見透かしているようで怖い。


「そうだなー、綺麗と言うよりは可愛いって言ったほうが正解だけどなー」

「私とあの人が本気で勝負したらどうなるんでしょうね」

「頭はわからないけど、殴り合いならお前が勝つだろうなー」

「ふふ、どうかしらね。案外わからないものよ」


 なにその言い方、こわい。まるで入江が剣道二段、空手二段に合気道まで(たしな)んでいる赤城さんと張り合う実力を持ってるみたいじゃないか。


「そう言えば、あなたって生徒会だったわね」


 なんで知ってる!?

 僕と赤城は学校で無関係のフリをして(はな)していないから生徒会に入っていることも言っていない。

 僕は一応それを気取られないように表情をつくる。


「私はあなたたちに見られていない間、いろんなことをしてたのよ? 更衣室を覗いたり写真にこっそり写ろうとしたり」

「変態幽霊かっ!」

「まあ女子の裸なんて見飽きてるんだから何とも思わなかったけれど」

「引っかかる言い方だなぁ。あと一歩で危険ゾーンだぞ?」

「そうかしら。私は女よ?」

「それでも他人の裸なんて滅多に見ないだろ」

「んー……まぁそうね」


 ダメだ。このままだと朝の続きになってしまう。

 下ネタで一話を終えるなんて嫌だぞ。


「あれ……、ジャングルジムの上に誰かいるぞ」


 通りかかった公園のジャングルジムのてっぺんに、半袖半ズボンで祭りに売っているようなお面を横向きに被っている子供がいた。

 あのお面なんだっけ。いつのライダーだっけなー、見た記憶はあるんだけど。

 公園なんていつも見ているし、ジャングルジムに子供がいるのは変わったことではないのに何故か僕は少し気を引かれたのだった。


「そうね、何で半袖半ズボンなのかしら。まだ寒いのに」


 それだ。

 長袖長ズボンの学ランでも夜はまだ寒い。昼間と言えど半袖半ズボンでいるにはまだ寒いのである。

 それに子供と言っても小学生や幼稚園児ではないように見える。

 

「中学生ね」

「やっぱりか?」

「しかも女の子よ。がっつかないようにね、桐名くん」

「そんな趣味ねーよ」

「それならいいのだけれど」


 良く見ればそこそこ引き締まってはいるが丸みを帯びた体つきをしている。さすがに中学生の男ならもう少しがっちりしてきているはずだ。

 僕の妹よりは小さく見えるからおそらく中学校一年生か二年生だろう。

 普段なら素通りして家に帰るのだが、なんとなーく気になったのでなんとなーく公園に入ってみる。理由なんてない。僕が少女好きな訳でもない。確かにスポーツ娘は嫌いじゃないが、本当になんとなーく『気が向いた』だけなのである。


「おーい、何してるんだー?」 

「む、誰だっ?」


 空を見上げていた少女が振り向く。いや、どちらかと言うと見降ろす感じか。

 短髪が良く似合う快活そうな少女だ。

 僕に向かって怪訝そうな顔を見せている。


「僕の名前は桐名南木。えーと君の名前は?」

「えっ! あっ!? ちょっと待ってろっ!」


 少女はあたふたしながら横向きにしていたライダーのお面を被りなおす。

 そしてジャングルジムのてっぺんから飛び降りてポーズを決める。


「僕の名前は(やん)(ばる)くいな、正義のヒーローだっ!」

「はいはい、ヒーローごっこお疲れ様。桐名くん、帰るわよ」


 ぱんぱんと手を叩いて撤収を告げる赤城。

 こいつ鬼か!

 ちょっとくらい付き合ってあげてもいいじゃないか!


「えーっと山原だっけ、そこで何してるんだ?」

「何をしてるって空を見てたんだよ、僕は空が好きなんだ」

「そのお面は? 声が籠って聞き取りづらいんだけど」

「んー、しょうがないなぁー。じゃあ解除しよう」


 少女はお面を横にずらす。

 どうやらお面を外すことが変身の解除のようだ。なんというか見た目に反して幼い印象を受けた。


「で、なんだい、お兄さん。お困りなのかい? ヒーローが相談に乗るぜ?」

「今のところ困ったことはないなぁ――――それより山原は何歳だ?」

「おうっ、今年で十五歳だ! 中学三年生だなっ! 若く見えるか? にゃはははは!」


 中学三年生――――ってことは僕の妹と同じ歳じゃないか!

 見えない……とてもそうは見えないぞ……。

 僕の妹はもっとこうなんか――――歪んでいる。


「桐名くん、まだその子供と何かやってるの?」

「うん、まぁ――――」

「仕方ないわね、私に任せなさい」

 

 赤城はつかつかとこちらへとやってきて山原の前に膝を折ってしゃがむ。

 そしてまるで小さな子供を相手するように話しかける。

 

「君はどこからきたの? お姉ちゃんが話を聞いてあげましょう」

「僕は空から落っこちたんだ」


 山原は空を指さしながら真顔で言った。

 冗談としか思えないが山原が嘘を言っているようには見えなかった。


「はーい撤収撤収ー、桐名くん帰るわよー」

「ホントなんだからなッ! 僕は空から落っこちたんだっ」

「そんなことある訳ないでしょう」

「ホラッ! 敵も来たしっ!」

「だからそんなことが――――」


 来た――――というよりそれは『いた』。

 まるで僕たちが気づくのを待っていたかのように。

 ヒーローの変身を待つ敵のように。

 雲で太陽が隠れたかのように辺りが暗くなり、生暖かい風が吹く。


「ねぇ、桐名くん。あれは何?」

「わかんねーよ。でも逃げたほうがいいよな……」


 黒くドロドロしたヘドロのような塊が三体(?)。

 肉塊のようにも見えるそれは異臭を漂わせながらじりじりこちらへやってくる。

 逃げなければ――――直感的にそう感じた。


「現れたなっ! 僕が相手だッ!」

 

 『変身!』と声を挙げ、ポーズを決めながら山原は正面にお面を被りなおす。

 そしてヘドロのような物体と戦うかのように拳を構える。

 おいおい――――無茶だろ、それは。


「おい、山原! 逃げるぞ!」

「僕に任せて先に行くんだっ!」


 山原は僕たちにそう言うとヘドロに向かって飛んだ。

 それはもう二~三メートルは飛んだんじゃないかと思う。

 そして――――黒い塊のうち一体に飛び蹴りをぶちかました。

 音もなく崩れ落ちるその塊から目標を変え、二体目へと後ろ回し蹴りを放つ。

 こう見ると本当にヒーローと怪人のバトルを見ているようで男としてはワクワクする。


「あの子供、本当に人間かしら。人間は三メートルも飛べないわよ」


 ごもっともだ。

 俊敏な動きと身のこなしが軽く人間の域を超えているような気がする。

 山原は僕たちがあっけに取られている間に、三体目の塊の中心に風穴を開けて、見事全部倒してしまった。

 崩れ落ちた塊の残骸が風化するように消えると、再び太陽が現れ、生暖かい風も止んだ。

 うーん、これもバトルの演出かと思ってしまうな。

 

「よしっ! 正義執行ッ!」


 いや、それライダーじゃないし! どちらかというと悪役だしっ!

 戦いを終えた山原は軽快に僕と赤城のもとへと駆けてきた。 


「お兄さんたち逃げてなかったのかー」

「お前一体何者なんだ? さっきの怪物といいお前の身のこなしといい……」

「だから言ってるじゃないかー! 僕は正義のヒーローだよ。それでアイツらは平和を脅かす敵だ」


 (らち)が明かない。

 僕がどうすればいいか悩んでいると赤城が僕に代わって山原に聞いた。


「私から質問するわ。あなたはどこから来て、どこに住んでるの?」


 それは恐らく山原が先ほど言っていた『空から落っこちてきた』ということも踏まえての質問だと思う。赤城もなんだかんだで聞き流してはいなかったのである。果たして赤城はツンデレなのか――――まだまだ調査が必要みたいだ。


「僕の住んでいた所は天舞市で、今はどこにも住んでいないっ! 強いて言えばこの公園がアジトだな!」


 ん? 待て待て、おかしいじゃないか。

 天舞市に住んでいるのならこの辺りのどこかに家があるはず。

 どういうことだろう。

 

「ここも天舞市なのだけれど、もしかしてあなたは迷子なの?」

「む? 何を言ってるんだ? ここは天舞じゃないぞ。こんな場所見たことが無い」


 赤城が明らかに面倒な顔をしている。

 話が食い違っているのだから仕方ないことだが、どうやら赤城は子供が嫌いみたいだ。

 このまま赤城に任せていてはいずれ何か起きてしまいそうなので僕が交代のサインを出す。


「えーと山原、天舞市にある山の事は知ってるか?」

「おうっ、(おに)()(さん)()()()(さん)だろ? 僕は天舞市のことならなんだって知ってるんだぜ! なんせヒーローだからなっ!」


 さて――――ようこさんを呼ぼう。

 明らかに山原の言ってる天舞と僕らの今いる天舞は違っている。

 赤城と山原の話が食い違うのは当たり前だ。

 よくある、もうひとつの世界から落っこちた、というやつなのだろうか?

 パラレルワールドなんてあるとは思っていなかったが自分の体がこうなってしまえばもはや何があってもおかしくはない。

 そして『普通の人間』でないのなら、あのヒーローのような動きと攻撃力も頷ける。

 山原くいなという少女もまた、僕らと同じように大災害に巻き込まれたうちの一人なのだろうか。


「なにやら騒がしいと思ってやってきてみれば――――面白いことになっておるのう」

「ようこさんっ!」


 空中にふわふわと浮かぶ九つの尾を持つ化け狐。九尾の妖狐『ようこさん』だ。

 藍色の着流し一枚というのは大胆だが元が狐なのだから恥じらいもないのかもしれない。 

  

「キツネだっ! 化けギツネだっ! 敵だっ! うわっ、胸でかっ!」

「儂は敵ではないぞ、小娘。 胸はおぬしもあと5年でこうなろう」


 空中で腕を組んで僕たちを見下ろしているようこさんは確かに悪役っぽい。それもボス級の。

 ようこさんもそれを悟ったのかぴょんと飛んで地上に下りる。まるで何か見えないものに乗っていたかのようだ。

 胸の話はスルーしよう。なぜなら僕の隣で赤城さんが悪魔のように微笑んでいるからだ。

 

「南木と――――鬼の娘もおるのか? はっはーん、そういう仲じゃったのかぁ。きゃはははは」

「違います。桐名くんとはただたまたま帰り道が重なっただけでそういう仲でもどういう仲でもありません。断じて違います」


 ぐはっ。

 僕も否定しようとは思っていたけれどマシンガンで否定されると口を挟む場所もなく、心に無数の弾痕が残る。でも登下校が一緒になったのはちゃんと約束してのことだったので赤城は嘘をついている。

 異議あり!


「ふむ。ところで小娘。おぬしは何時(いつ)から『アレ』と戦っておる? 以前より度々おぬしを見かけてはいたのじゃ」

「小娘ではない! 僕の名前は山原くいなと言うっ!」

「そうか小娘。で、何時からじゃ?」

「小娘じゃないと言ってるのに!」

「答えぬか、小童(こわっぱ)!」

「ひぃっ!」


 あっ、一緒だった。赤城もようこさんも一緒だったよ、参ったなぁ。

 二人して子供嫌いなんてまぁ大人げない。

 山原はすっかりようこさんに怯えて僕の後ろへと張り付くように隠れてしまった。 

 一応、体は中学生なので齢良し、顔良し、可愛いし、頼られるのは悪い気がしない。胸なのかはわからないが柔らかいものが少しばかり背中に当たっている。


「まあまあ落ち着けよ、赤城もようこさんも」

「その前に殴っていいかしら?」

「おい、まだ中学生だぞ赤城」

「あなたをよ」

「えぇっ!」


 ガツン。

 理不尽な暴力により僕の頭の耐久度が三分の一ほど減りました。あと二発喰らうと割れると思います。


「……ふーむ。そうじゃな、落ち着こう。ではもう一度聞く、おぬしは何時から『アレ』と戦って居るのじゃ?」

「何時から――――だろう? 僕は空から落ちてきたんだけどその時から敵は現れてたからなぁ、一か月くらい前からかなぁ」

「よし、いぶき苑へ招こう。儂は先に行っておるからおぬしらも来い。夕餉(ゆうげ)くらいは馳走しよう」

「今からか?」

「今からじゃ?」


 拒否権ねーじゃねーか。

 まあ大妖怪に相手の都合も考えろと言うほうが間違っているのかもしれないけど。

 それでも赤城といい、ようこさんといい、なぜこうも恐ろしい女ばかりなんだよ……。


「じゃ、待っておるぞ」


 そう言ってようこさんはふわりと宙に浮くと、空を飛んで帰っていった。

 また夜までかかるんだろうなぁ。どうせなら休みの日にしてくれりゃあいいのに。

 

「じゃあ私はお母さんが心配するから帰るわ」

「え? あ、あぁお疲れ様」

「お疲れ様、頑張ってね」


 赤城も帰ってしまった。

 頑張ってね、と一言付け足したのは赤城なりの優しさなんだろうと思う。

 結果僕とヒーロー少女の二人が公園に残されてしまった。


「女って勝手だね~」

「いや、お前も女の子だろ?」

「そうだけど、僕はあんな風にはならないよ!」


 確かに山原なら赤城やようこさんとはタイプが違うからそうはならないだろうけどさ。

 僕は家に帰ろうか迷いに迷った挙句、家に帰ることにした。

 この前遅く帰った時はこっぴどく姉に叱られ妹には泣きつかれたからな。今回も遅くなると読んでラフな服装に着替えようと思っている。


「山原、もしかして今のお前って他人から見えなかったりするのか?」

「ん? 何言ってるんだよ、お兄さん。僕は透明人間じゃないんだぞ? ヒーローなんだぜ!」

「そっか、そうだよなぁ。それじゃ行くか」

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