「何やら隣がやけに騒がしい」
知り合いからお題を頂き、それにそってショートストーリーを書くっていうもので書かせて頂いた作品です。
楽しんでいただけると幸いです。
王宮内を歩けば様々な声が聞こえてくる。
メイドや召使いたちのおしゃべり声。外で訓練する兵士たちの声。本当に多種多様だ。
音も立てずに昼間の廊下を歩いていると、とある一室から何やら声が聞こえた。
途切れ途切れにしか聞こえないが「毒」やら「時間」やら、それらしいワードが出てくること出てくること。どこの国でもある事だろうが、間者が国のトップを暗殺するのは最早お決まりなのだろうか?
動機はこの際どうでもいい。興味が無い。
さて…ここで問題。連合国第四子・ナターシャ姫の護衛騎士兼教育係の私は、どうすればいいか。
ここで聞き耳を立てるか、それともしばらく泳がせてみるか…。
短く熟考し、後者を選んだ。
未だに言い争いを続けている部屋から離れて、私は廊下の向こうから歩いてくる顔なじみのメイドに耳打ちをした。
「泳がせておく魚が見つかった、見張っていろ」
目だけで件の部屋を示すと、メイドは頭を垂れてその場を後にした。
彼女は王宮内でも凄腕の諜報員だ。いい成果を持ってくるだろう。
私はその成果を待ち、他に転がっている情報がないか探すこととしよう。
もちろん、ナターシャ姫に知られないように。
まだ六つの姫君にはこのような話は重すぎるし、理解できないだろう。
「姫さまにも剣術や護身術を教えるべきですかね」
私が常時、傍に控えているから滅多なことは起こらないが、やはり万が一はどこかにある。なら姫さま自身で身を守る術を身につけた方がその万が一の時にいいだろう。
私はそのように頭の中で考えを纏め、明日にでも国王に謁見して姫さまの護身術の件を伝えようと決めた。
それから数日後、隣国から送られてきた間者が秘密裏に処刑されたようだ。




