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「上司は激怒した」

知り合いからお題を頂き、それにそってショートストーリーを書くっていうもので書かせて頂いた作品です。

楽しんでいただけると幸いです。

上司は激怒した。

繁忙期を無事に過ぎたオフィス。それが彼の仕事場である。昨日まで鳴り止まなかった電話はぴたりと止み、ばたばたとオフィスを駆け回っていた社員たちは今日で一息つけたことに落ち着きを取り戻している。

だがしかし、これはどういうことだ。

昼休みから戻ってきたオフィスは香ばしい匂いでいっぱいだった。

じゅーっと油が肉を焼くいい音、醤油とニンニクの食欲をそそる香り、社員たちが上司の机の前でたむろしている。匂いの出処はどうやらそこらしい。

恐る恐る近づいてみれば、愛用のマイデスクには書類やノートパソコンなどの仕事道具はどこかへ消え、代わりにIHコンロが置かれていた。油はねガードにデスクいっぱいに敷かれた新聞紙。意外にもしっかり油はね対策を講じられている。コンロの上には大きめのフライパンが鎮座し、中でこんがり焼けた唐揚げが揚げ焼きにされていた。


「なんで俺の机で唐揚げを作っているんだ!!」


思わず叫んだ上司。すると、フライパンを握って率先して唐揚げを量産している男性社員が言った。


「繁忙期お疲れ様唐揚げですよ。上司も食べます?」

「食べるけど!食べるけれども!何で俺の机で唐揚げを作っているんだ!!」

「コンセントの立地問題です。上司の机が一番壁際にある未使用コンセントに近かったので」

「俺のPCや書類はどこいったんだ!?」

「それならご安心を!俺の机に全部整理整頓して一時避難させました!」


屈託ない笑顔でサムズアップされるとそれ以上怒るのもなんだか馬鹿らしく思えてきて、彼は男性社員に促されるまま出来たてホカホカの唐揚げを食べて口内を火傷した。

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