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何も見えないくらい家の中で。何も見えないはずの家の中で。

知り合いからお題を頂き、それにそってショートストーリーを書くっていう作品です。

ショートストーリーです。

楽しんでいただけると幸いです。

僕の日常は水泡の音と無限に広がる闇だけだった。

いつからこの音と闇だけだったのか。いつから僕は存在しているのか。自分に関することも、水泡の出処も、闇しかないことも、僕はなにも知らなかった。

知らなくても不自由はなかった。水泡の音に耳を傾け、闇に身を委ねていると文字通り世界に僕だけしかいない、そんな馬鹿げた錯覚に浸ることができたのだから。

いつまでもこの闇に浸っていたい。

けれど、僕はいつか誰かの手によってこの闇から引きずり出されるだろう。

僕が望む、望まないに関わらず。誰かは僕という存在が起きることが重要なのだろうから。

その誰かの声は時折、水泡の向こう側から聞こえてくる。

「はや……これ…か……い……まもなく……」

途切れ途切れで意味を成さない言葉たち。

僕が目覚めた時、この闇よりも優しいものはないだろう。この水泡の音より清らかなものはないだろう。

それでも時間だけは無慈悲に過ぎていく。

闇が晴れ、強すぎる光が襲ってきて僕は目覚めた。

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