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「生ぬるいラムネが、自転車のカゴにひと瓶」

知り合いからお題を頂き、それにそってショートストーリーを書くっていうもので書かせて頂いた作品です。

ショートショートです。

楽しんでいただけると幸いです。

「ぬるい」

ラムネの瓶を手渡すと、妹は不満そうに一言そう呟いた。

「そりゃ仕方ないな。夏祭りの会場からここまで自転車のかごに入れっぱできたんだから」

「保冷バッグにいれてくればよかったじゃん」

「あいにく、手持ちにそんな便利な道具はない」

「ばぁばかおかんに借りればよかったじゃん」

「二人とも使うからって貸して貰えなかったのよ。…冷蔵庫で冷やしてから飲めばいいじゃん」

「や!あねぇが持ってきてくれたキンキンに冷えてるやつが飲みたかったの!」

「ワガママ言うんじゃないよ。…そもそも、夏祭り前日に風邪ひいたのはどこの誰だっけ?」

意地悪く問かければ妹は悔しそうに顔を歪めてそっぽを向いた。

片田舎のそこそこ有名な神社で開かれる夏祭り。その夏祭りの運営で家族はほとんど出払ってしまい、家にいるのは妹と私とばぁばの三人だ。

毎年夏祭りを楽しみにしていた妹は前述の通り夏風邪を引き、両親から夏祭り禁止令を言い渡されたのだ。

夏祭りに行けなくていじける妹を見かねて、姉の私が妹の好きなラムネを買ってきてやった、という顛末だ。

「冷たいラムネが飲みたいなら氷入れたコップに移して飲めばいいでしょ」

「…それじゃただのラムネじゃん」

「ラムネでしょ。何言ってんの?」

「あたしは「夏祭りのラムネ」が飲みたいの!瓶のままで飲みたい!」

「ワガママなやつめ…」

妹は小学一年生。学校生活に揉まれて多少ワガママは卒業したかと思っていたが、まだまだだったようだ。

風邪を引いて心細くなってワガママになったのかもなぁ…などと考えて、私は妹に「ちょっとまってて」と言って、ばぁばに許可を取りに台所へ向かった。

台所でたらいを借りて、その中に冷水と大量の氷を入れて妹が待つ縁側の部屋へ戻ってきた。

「あねぇ、なにそれ?」

「ラムネを冷やすやつ。ほれ、ラムネ貸して」

妹からラムネを受け取って、冷却たらいにラムネを突っこむ。こうすれば多少は冷たくなるだろう。

「テレビのCMで見るやつだ!」

妹は嬉しそうに顔を綻ばせた。ちょろいものよ…と心の中で呟いて自分の分のラムネもその中に入れた。


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