「君には、死んで欲しくないから」
知り合いからお題を頂き、それにそってショートストーリーを書くっていうもので書かせて頂いた作品です。
ショートショートです。
楽しんでいただけると幸いです。
「君には、死んで欲しくないから」
なんてクサイ台詞だろう。
あいつはそんなことを言って、俺を無理やり救命ポッドに押し込むと警報が鳴り響く本船へ引き返して行った。
ふざけるな!お前も一緒に逃げるんだ!
ポッドの内側から何度も拳を打ち付けて叫んだ。
そうこうしているうちに、救命ポッドが本船から切り離され、緊急避難指定されている人工衛星「Tー9」へ向けて飛び始めた。
広大な外宇宙へ生物調査に繰り出す飛翔隊の一員として未開惑星を目指していた矢先、本船が小惑星郡の領域に入り込んでしまった。
ただちに領域からの離脱を試みたが、強力な磁力によって小惑星郡は次々に本船へぶつかっていき、ついにはエンジン部にも被害が及んだ。
第四、第三エンジンは機能を停止し、本船は小惑星郡の流れる磁力の流れに引っ張られていた。
このままでは本船もろとも宇宙のモクズだ。
機長が下した決定は本船を捨て、小型船での脱出を試みる。
乗務員はみな避難した様子だった。
第三エンジン部に近い場所で作業をし、ぎりぎりで生き残った俺とあいつを残して。
機長はエンジン部に近い位置にいる乗務員を見捨てたのか、それとも生き残っていると思わなかったのか。それはわからないが、俺とあいつは火の手が上がる本船を脱出用の小型船を探して走り回っていた。
そこで一人用の救命ポッドを見つけたのだ。
どちらが乗るかで言い争いになり、最終的にあいつに腹パンを食らった俺が無理やりポッドへ押し込めらたという訳だ。
どんどん本船から離れていくポッド。小惑星郡にぶつかっているようで、大きくポッドが揺れて回り、気づいた時には「Tー9」へ到着し、衛生内で勤務する同じ地球人に介抱されていた。
そのもう十分後に救命ポッドであいつが「Tー9」へ流れてきたのはまた別の話。




