コーヒーに浮かんだ甘い月
こちらはわたしが適当に思いついた文章の羅列(題名)にストーリーを付けたらこんな感じかな、という作品になっています。
楽しんで貰えたら幸いです。
コーヒーの湖面を覗いた時、月が映っていたらそれは幸せがくる前触れ。
恋人のハルトはよくそう言うのだ。
夜にコーヒーを飲んでも平気なカズマとハルトは一日の終わりは必ずコーヒーを飲む。
この日はカズマがコーヒーを淹れる日だった。
同じ形で色が違うマグカップにそれぞれコーヒーを注いでキッチンからリビングへ戻ってくると、ハルトはナイトライトも消して、外から差し込む月の光に見入っていた。
「暗くないの?」
「月明かりがあるから平気」
ローテーブルにカップを置いてハルトが身を沈めるソファへ腰掛ける。
甘えるようにハルトの体によりかかると、小さく微笑する気配がした。
「ハルト、コーヒーの湖面に月、映ってる?」
カズマがひっそりと聞いてみる。ハルトはローテーブルにのったマグカップを見つめる。
湯気が立ち上る黒い湖面を見つめて、カズマを抱き寄せる。
「今日は映ってないみたい」
だから、月を浮かべてみようか。ハルトがそう言って懐から白く丸い何かを取り出しコーヒーの湖面に浮かべる。
浮かんだ途端、シュワシュワと溶け始めるそれは見たことがあった。
「マシュマロ?」
「月の代わり」
いたずらっぽく笑うハルト。その笑みに釣られるようにカズマも微かに笑みを浮かべた。
どうやってハルトがコーヒーに月が浮かんでいるのを判別できるか分からない。
光の加減なのか、それともハルトにだけ見えるものなのか。
すっかりマシュマロの溶けたコーヒーを飲む。
「甘い」
「マシュマロだからね」
窓から見える月を二人寄り添って見上げ、他愛もない会話をする、この時間が続けばいいのに。なんてありきたりなことを考えながらカズマはハルトの唇に自身のそれを重ねた。




