「これで終わりにしたいと思います」
知り合いからお題を頂き、それにそってショートストーリーを書くっていうもので書かせて頂いた作品です。
お題は「これで終わりにしたいと思います」
ショートストーリーです。
楽しんでいただけると幸いです。
「これで終わりにしたいと思います」
気怠い恋愛映画を見ている気分だった。
駅前の喫茶店、丁度おやつ時。
自分の向かいの席にいるのはつい先程まで恋人だった人。そして上記の発言を言われたわけだ。
終わりにしたい、というのはこの関係を終わらせたい、と言うことなのだろう。
「いいよ、終わりにしよう」
そう言うと、目の前の人は明らかにうろたえ始めた。
「え…いいの?」
「いいよ。そこまで本気じゃなかったってことでしょ?なら、ちょうどいい機会だから別れよう」
未練がないと言えば嘘になる。が、自分も大して相手に本気になれてなかったのは事実。半分お遊びで付き合っていたに過ぎない。ついでに言えば恋人関係を多少面倒くさく感じてもいたので、向こうからの別れようという提案は渡りに船だったわけだ。
別れ話をしたのならもう用事は無い。いい加減ぬるくなったアイスティーを飲み干し、伝票を持って会計を済ませようとした。が、恋人だった人に腕を掴まれた。
「ちょっとまった!どこ行くの!?」
「え?飲み物代支払って帰ろうと思ってた」
「なんで帰るの!?まだ話終わってないんだけど!」
「はぁ?別れ話終わったら普通帰るでしょーが」
若干冷ややかな目で見つめた自覚はある。すると、目の前の恋人だった人の目にじわじわと涙が溜まってきた。
「別れるつもりとか無いから!!」
「なに?情緒不安定なの?」
大声で怒鳴る相手をなだめて事の経緯を聞いてみると、どうやら自分が嫉妬らしい嫉妬をしない事が気に障り、軽い気持ちで別れる、と言ったらしい。そして向こうには別れる気は毛頭ないらしい。面倒。
「いや、面倒。別れよう。こんな試してくるようなこと言う人と恋人とかまじないわ、萎えたわ」
なおも言い募ろうとする相手を無視して、自分の分の会計だけ済ませて早々に喫茶店を後にした。




