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その報せが届いたのは雨の降る午後のことだった

知り合いからお題を頂き、それにそってショートストーリーを書くっていうもので、私から知り合いに出したお題で、書いた作品です。

お題は「その報せが届いたのは雨の降る午後のことだった」です。

ショートストーリーです。

楽しんでいただけると幸いです。

 湊が飛び降りた。

 短く綴られたメッセージは驚くほど簡素で、送り主がどんな気持ちでこれを送ってきたのか全く読み取れなかった。

 六月も半ば。梅雨入りして、連日の雨にうんざりしていた午後にその報せだった。

 頭を金槌で殴られたような衝撃が襲った。だが、どこか現実味がなくて俺はメッセージの送り主で友人の類に「それは確かなのか?」と返信をした。

 すぐに既読の表示が現れ、次いでまた短い文章で「〇〇病院にいる。至急来てくれ」と返事が帰ってきた。

 俺は最低限の身なりと持ち物を整え、すぐに自分の住んでいるアパートを飛び出した。

 指定された病院に駆け込むと、総合案内の人に病院に運び込まれた患者の友人であることを話し、急患センターまで案内してもらった。

 急患センターに行くと救急治療室と表札のある部屋の前、長椅子にやや疲れた様子の類が座っていた。

 俺は案内してくれた総合案内の人にお礼を言い、類に歩み寄る。類は気配で俺が来たことをわかったらしく、ゆっくりと顔を上げた。

「遅かったな、(すぐる)

 短く謝ると、類は気にしてないというように自分の横に座るように勧めた。大人しく長椅子に座ると、類が事の経緯を話し出す。

「湊がアッチに引っ張られた」

 短い類の説明。それだけで十分に理解した。

 俺と類、そして湊は大学からの友人で、同じ映画鑑賞サークルに所属していた。

 湊は特にホラーや心霊系の映画が好きで俺たちの制止も聞かず、よく心霊スポットに行くくらいの心霊オタクだった。

 今回も類の家に行く前日に心霊スポットに寄ったらしい。類曰く、そこでよからぬものに取り憑かれたというのだ。

「湊は大丈夫なのか?」

「取り憑いていたモノは祓った。あとは、湊の生命力次第だ」

 類は名のある寺の息子で見えないものが見え、良くないものを祓う力を持っていた。

 俺はといえば、その見えないものを僅かながらに察知することができる程度だが。霊感のない湊からは羨ましがられたものだ。

「飛び降りたってどこから?」

「俺が住んでるマンションの三階から。目を離した隙にやられた」

 苦々しげに類が答える。お茶を用意しようとしたら、そのまま湊がベランダから飛び降りた、ということらしい。すぐに救急車を呼んで、その間に類はできる限りの応急処置を施した。駆けつけた救急隊員に湊を任せ、俺に連絡をとって救急車に同乗して病院へ来た、という顛末らしい。

 話を聞き終えたところで救急治療室から一人の医師が現れた。無事に処置が終わり、油断は出来ないが大きな峠を超えた、と聞かされる。俺と類は安堵のため息をついた。

「湊には今後一切心霊スポットに行かないように言い含めないとな」

「そうだな」

 二人で頷きあって、湊の様子を確認するために病室へ入っていった。

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