交通事故
自衛隊が生き残った理由には、勿論、規律のとれた武装集団というのがあったが、これ以上に、命令を柔軟にとらえた行動にあったのだと思う。
悪くいえば命令逸脱である。
この時、4トン近い重りを引いたトレーラーで民間人に突っ込むという前代未聞の行動に出た俺であったが、屋上の機銃は一切火を噴かなかった。
そればかりか、館内放送で「自衛隊は誰もそとに出るな!出てくるなよ!」と放送があったのだった。あの、作戦参謀の声であった。
事を自由になしながら、大きな借りを作ってしまったぞと頭を抱えるなどする。
ババアは元気だった。
「ひき殺しなさいよ!!できるもんならねぇ!!!」
両手を広げ叫んでいる。顔はくしゃくしゃ、眉間に小じわを浮かべて、加齢とは恐ろしいものだと思った。
だがそれのお陰で時速60キロで迫る車体重量10トン近い車の前にも立てるというのだからこれは素晴らしいことなのだろうな。
もう、逃げてくれーって気持ちでクラクションをならす。ヘッドライトもチカチカさせて危険をしらせた。
よって十分に相手には逃げるチャンスを与えたと思う。自衛隊では明らかな敵に対しても警告を行うのでそれを真似た形だ。
最終的に轢いたが、こっちに落ち度はないだろうて。
むしろ、あれはいらんだろう。あれは。
自衛隊、作戦参謀に米の半分を譲渡した。悪くいえば口止め料であった。




