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新たなクラス

長ったらしい入学式も終わりそれぞれのクラスに移動することに。

この学校は全部で1学年6クラス。クラス替えは毎年ある。

その中で俺は1組で野乃花とクラスが同じになった。


「今年もよろしく」

「よろしくですよ」


新鮮さは欠片も無いけどな。だって毎年野乃花とは同じクラスだし。

野乃子の方とは一度も一緒になったことが無いのが面白い話だ。


そして席も毎回近い。

野乃花が桜井で、俺が佐伯だからな。


「むぅ。いつも通り前が見えないですよ」

「こればっかりはしゃーないな。まぁ後で交換してもらおうぜ」

「仕方ないですよ」


これもまた恒例だ。俺の方が名前順的に速くて身長が俺の方がある。

つまり野乃花は毎回黒板が見えないという。

なのでいつも初日に俺と野乃花の席順を好感してもらっている。

そうじゃないと授業もまともに受けられないしな。


周りをちらっと見渡すと。

俺達みたいに中学からの付き合いがある友人がいないのが多いのか。割と緊張した面持ちで黒板を見つめているのが多い。


「やっぱり新学期って緊張するもんか?」

「私毎回真人といっしょなので全然ですよ」

「俺も。野乃子の方に聞くか?」

「お姉ちゃんはコミュ化けなのであんまり参考にならないですよ」

「そらそうだ」


笑うしかないくらいの正論だ。あいつ友達が傍にいない時期の方が少ないんじゃないか?


そうしているうちにこの教室の方に大人が近づいてきているのが分かる。

恐らく教師陣だろう。歩幅と数を考えた限り間違いないはず。


「そろそろ来るぞ」

「はいです」


前を向き直して待つ。

すると1分もしないうちに教室に女性が入って来た。

見た限り若い教師のようだ。20代なのは間違いないだろう。


口笛の一つでも・・・いや別にそうでもないか。


彼女は教壇に立つと、にこやかに自己紹介を始めた。


「初めまして。私が1組の担任になりました『大塚梓』と言います。これからよろしくお願いしますね!」


そう彼女が言うと生徒側である俺達もまばらではあるが返事を返す。

割と緊張しているのが多いようだ。


「ふふ。あまり緊張しなくても大丈夫ですよ・・・といっても初日ですし無理ですよね」

「そういうものです?」

「さぁ」


小声で野乃花が話しかけてくるけどその手の話は縁が無いので分からない。

後ろに友達いるしなぁ。緊張感が無い。


ああ、あと美人の女教師ってだけで緊張するのもいるか。

底も俺はなぁ。グラディスがいるからあんまりって感じ。

美人ってのはグラディスレベルになってから言ってほしい・・・いや本人は言ってないか。


『ありがとう♪』

(どうも)


褒められて上機嫌になったグラディスを感じつつ渡されたプリントを後ろに回していく。

大体入学式後の流れとか、明日以降の事が書かれているな。

だけど一枚だけ明らかに異質なプリントが紛れている。


「緊急時の対応について・・・ねぇ」

「これって。例のあれです?」

「だな」


物騒なタイトルのプリントにクラス中がどよめく。

それは想定していたのか、大塚先生は一声かけて落ち着かせる。


「皆さんも知っていると思いますが、世界規模で謎の門が出てきた事で交通網が止まっている所があります。

 このプリントはその関係で何かが合った時の対応が書かれていますので、きちんと保護者の方に見せてくださいね」

「「「はい!」」」


要するに何かあった場合、帰宅可能なら授業を切り上げて帰宅。

それが難しい場合保護者に迎えに来てもらう、或いは学校を避難所としてそこに滞在する感じだ。

災害時の対応といっしょだな。まぁあの門自体災害と言ってもおかしくないから間違いじゃない。


「ここの最寄り駅にもあるんです?」

「あるよ。見てきたけど結構大きかった」

「みてきっ・・・後でお話聞かせるですよ」

「本当に見ただけだからは成す事ねぇっての」


野乃花はグラディスの事を知らない。

なので山のある門の事も、俺がその中で戦ったことを教えるわけにはいかない。

友人に黙っていないといけない上に、場合によっては嘘をつかないといけないのは心苦しくはある。

だが無駄に巻き込むわけにもいかないのも事実なのだ。

特に今回は、下手したら国をひっくり返しかねない程の大騒動に発展しかねない。


正直勘弁してくれという思いが強いが・・・こういう時の為に備えてきたのだ。


巻き込んでたまるものか。


その後もHRは進み。全ての連絡事項の伝達が終わった。


「はい。ではこれで連絡は終了になります。皆さん寄り道しないで真っすぐに帰ってくださいね・・・あ、明後日は体力測定がありますから体操着の準備はしておいてくださいね」

「「「「「はーい」」」」」


最初に比べるとかなり返事も柔らかくなった。

この先生相手ならそれでも大丈夫だと思ったんだろう。


俺達も手早くプリントを鞄に仕舞い帰り支度を終わらせる。


「親しみやすそうな先生で良かったな」

「そうです・・・あ、席順の事忘れてました」

「あ・・・まぁ明日で良いだろ」

「そうですね。最悪授業が始まる前に言えば良いですし」

「明日は部活紹介やら学校案内やらだったか。広そうだから迷うなよ?」

「子供ですか?」

「子供だろ」

「むぅ」


相楽姉妹はなんというか・・・幼い。

身長的にはそこまで極端に小さいわけではないが、何か雰囲気が幼い。

なので時々小学生に間違えられるのだ。

そしてそれをカバーする俺(身長188cm)

・・・ちなみに身長に関してもグラディスに弄られているので将来的に2m近くなるそうだ。

まだ伸びるのか俺。


『高身長の方が強いのよ?』

(じゃあ何で顔まで弄る?)

『・・・使い手は私の好みの方が良いじゃない』(ボソッ

(聞こえてるからなそれ?)


まぁ顔はそこまで大きくは弄ってないそうだからあれだけど・・・これは整形にあたるのだろうか。

魂単位で弄られているから成魂?


「というか、お姉ちゃんどこです?」

「先におばさん達の所・・・いや、先に帰ってるんだっけ?」

「そうですよ。なので送ってください」

「へいへい毎年恒例の散歩ね」

「そういうことですよ」(フフーン


胸を張る野乃花に微笑ましさを感じたのならあなたも明日からパパです。


さて馬鹿な事考えてないで野乃子を探すか。

あいつのクラス隣だからそこ除けば一発で・・・


「へい真人!!」

「おう」

「お姉ちゃん・・・と見知らぬニューフレンドです」

「あ、ど、どうも」

「どもーっす!!」


俺が見つける前に俺が見つかったようだ。まぁ俺高校生基準で見たらデカいもんな。


野乃子が体当たりするかのようにこちらに来たので顔面を受け止めることでガード。

野乃花の方がその後ろから着いてきていた女子二人に気が付く。


眼鏡を掛けた三つ編み。いかにも文学少女。

短髪ボーイッシュ系。どう見たって陽キャ。

どうも今回野乃子が見つけたフレンズは彼女達らしい。相変わらず手が早い。


「お姉ちゃん離さなくて良いです?」

「おっと」

「私じゃなきゃ訴えてたぞ!!」

「野乃花も訴えないからセーフ」

「ん?・・・確かに??」

「なんでです???」


馬鹿で助かった良し。


「んで?後ろの二人はどなた?」

「あ、そうだった。席近かった友達!!」

「早いね相変わらず。ああ。自己紹介は自分でするから口閉じてて」

「むっ!!!」

「口に手当て黙ってる・・・」

「相良ちゃん本当に子供見たいっすね・・・」

「分かるです」

「分かる」


というか多分精神年齢が小学生で止まってるんだと思うわこいつは。

まぁ自己紹介するか。


「じゃあ俺から。佐伯真人だ。これとこれの幼馴染で、こっちとはクラスも一緒だよろしくな」

「相良野乃花です。お姉ちゃんと被るので野乃花で良いですよ」

「あ、朝見彩芽あさみあやめです。相楽さん・・・じゃなくて、野乃子さんとは席が隣です。よろしくお願いします」

七夕緑たなばたみどりっすー。自分も席は隣っすね」

「両サイドなのか。前後は?」

「男子だった!!」

「あらそう」


となると今回は女子に優先的に話しかけてきたと。

クラス替えの度にやるけどその辺りばらばらだったけど今年はそうだったってだけなんだが。


「野乃花はまた真人の後ろ?」

「そうですよ。相変わらず前が壁です」

「無駄にデカいもんな真人は!!」

「鷲掴みにするぞ」

「してる!!もうしてる!!!」


当然調整(ry

なので野乃子の頭を鷲掴みにするくらいは用意である。


「あー。そういう感じの幼馴染なんすね」

「まぁな。幼稚園からだからな」

「お、思ってたより長いんですね・・・」

「腐れ縁ですよ」


それを見て納得したかのように頷く七夕と、ちょっと遠慮がちに俺に話かけてくる朝見。

七夕はともかく。うーん。朝見はあまり異性に慣れてない感じか?


『そのようね。男性と接したことが無いのかしら』

(それで高校生活初手で俺か・・・あんま良くないな?)

『まぁ大きくしたからねぇ。初見の人に対してはあまり良くはないわね』

(その辺も鑑みて弄ってほしかったけどな)

『何よ。私の好み優先に決まってるじゃない』

(前から言ってるが隠す努力をしろ)


もう俺の体弄ったのが強さと関係ないの自分でばらしてんじゃん。いや前から言ってたけど。

今はもう良いけど初めて聞いた時割と愕然としたんだからな?


まぁとりあえず朝見には不自然にならない程度で話しかけておこう。

七夕は・・・まぁ気にしなくて良いか。こいつは多分誰でも仲良くなれるタイプだ。


「んで?俺達このまま恒例の散歩に行くけど」

「二回目だねそれ???」

「まぁ学校変わるたびにだから二回目だな」

「何するっすか?」

「この辺の土地に慣れる為に散歩がてら歩くんだよ」

「ついでにカフェとか見つけるです」(フンス

「おお!自分も行きたいっす!!」

「わ、私も・・・」

「ん。じゃあ全員だな。そろそろ行こうか。多分邪魔になるし」

「「うぇーい!!」」

「野乃子が増えたみたいだなぁ」

「一緒に頑張るですよあやめちゃん」

「え、あ・・・うん。ありがと野乃花ちゃん」


賑やかな高校生活になりそうだなぁ・・・


「・・・あ」

「ん?どうしたの真人」

「いや。俺も男友達作れば良かったと」

「それ忘れることっすか???」


いや普通に全然忘れてたわ。

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