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内部調査開始

『終わったわよ』

「どうだった?」

『そうね・・・まず魔力漏れに関しては意図的だと思うわ。こちらの構成とあちらの構成を比べて分かったことね』

「意図的ねぇ」

『大きな門の方は魔力を吐き出すのが目的と考えてよさそうよ』

「そんなことして何の意味があるのやら」

『さぁ。私達的には都合が良いのだ狩れどね』

「俺達の能力上そうなるわな」


戦い方の問題だ。

俺の戦い方は非常に魔力に依存している。

魔法使いと言うわけではないが、魔力に干渉してある事を行って戦うのだ。


それは俺自身の魔力を消費して行うのが基本だが、空気中に漂っている魔力が多ければ多いほどやりやすくなる。

だが魔力が濃くなれば俺達に有利と言うわけだ。


「んで?他に分かったことは?」

『内部は異空間ね。それもかなり広い』

「広い?というか異空間だ?」


おいおい。これの中って入れるのかよ・・・


「はぁ・・・もしかして」

『これ以上は入らないと分からないわね♪』

「楽しそうだなおい」

『楽しいわよ?』

「あらそう・・・」


グラディス的には超久しぶりな魔力関係の事件だから張り切ってんなぁ・・・。

俺的にはここで見て終わって帰りたかったんだけど。


だが放置ってわけにもいかない。

仕方ないから、このまま中に行くか。


「普通に入っても問題は無い?」

『それは無いわね。この門自体は転移門の様なものだし』


転移門って何だとは思うけど、多分読んで字のごとくなので一々聞かない。

これで長い説明でもされてみろ。日が暮れるぞ。


魔力の衣を纏うように体に身に着け門を潜る。

門の内側は透明な壁の様な物が張られており、それを通り抜けるような形だ。

そこを通り抜けた瞬間・・・視界が一気に切り替わった。


「洞窟か?」

『見たいね。閉鎖環境を作るのは鉄則だけれど』

「何の鉄則だよ」

『ダンジョン?』

「えぇ・・・」


いやまぁそうか・・・その可能性はあるのか。

だがダンジョンって言われたところで何だとは思うが。

そもそもこんなのこの星で作って何の意味があるんだ?

魔力の魔の字も忘れてしまった様な人類しかいないのに。


仮にダンジョンだとして、探索すらままならないんじゃないか?


「とりあえず進むか。てか魔力濃いなここ!?」

『まぁ良いじゃない。ここなら本気で戦えるわ』

「必要あるのかあれ・・・?」


何相手にする想定で俺はあんなの覚えたんだか全く。

鍛錬の時間は無駄ではないと思っているが、あの技だけは無駄だよな。


洞窟の中を進むんでいく。

何故か光源も無いのに明るいのは不気味だ。


それに魔力による探査に妨害が掛かっている気がする。

本気になれば数十キロくらい先まで調べられるのに、この中に入った瞬間にその範囲が一気に狭くなった。

遠くを意識すればするほど、靄が掛かったかのように見えなくなる。


「厄介だな」

『不意打ちには注意ね。それでも10mくらいは見えるけれど』

「あれだろ。こういう所ならきっとゴブリンが矢を射かけてきたりするんだ」

『ダンジョンのあるあるなのかしらねぇ』


グラディスのダンジョン知識がどこから来たものなのかは不明だがな。

それとも昔の地球にはダンジョンがあったりしたのだろうか。

その辺りはこの後聞いた方が良さそうか?


その後もうしばらく歩いていると、ようやく変化があった。

魔力探査に引っ掛かった生命体がいたのだ。


「何かいた」

『よっわいわねぇ』

「まぁここがマジでダンジョンなら、一層からそんな強いのにいられても困るだろ」

『それもそうね』


曲がり角を曲がった先にいる生命反応。

それは何処からどう見てもウサギであった。ただし牙の様な物が生え、殺意に満ち溢れた顔をしている。


「子供泣くぞこれ」

『可愛・・・くはないわねこれは』

「ギピ!!」

「声も可愛くねぇ」


そしてその面と同じようにこちらに敵意を向けている。

間違いなく敵で、しかもしっかりとこちらを殺しに来るタイプのようだ。


こうなるとダンジョン説がより濃厚になってくるな。

中へ入ると人間に襲い掛かってくるモンスターがいるってのは定番だろ?


「グラディス」

『はぁい』


グラディスの力を発動する。

彼女の能力はいくつかあるが、俺が最もよく使うのがこれだ。


手に刃渡り80cm程の剣が現れる。

何もない所生み出した様に見えるそれは、ちゃんとある物を使って生み出した物だ。


まぁ想像は着くだろうが・・・これは魔力を固定、圧縮して生み出した剣だ。


グラディスの能力の一つ。魔力の物質化。

正確には固定と圧縮を行うことで物理的な干渉を行えるレベルの濃度にする力。

それを俺は物質化と呼んでいるのだ。


そして生み出した剣を・・・ウサギに向けて投げる。


「ぎぇぴ!?」

『「よっわ」』


勢いよく投げられた剣はそのままウサギに命中。

ウサギは避ける素振りすら見せずにそのまま倒されてしまった。

拍子抜けである。あんなにも殺意に溢れた顔をしていたというのに。


そしてウサギがいた場所には肉と青紫の石が残されていた。

肉はご丁寧に密封された袋に入っている。


「なんで??」

『何でかしらね?』


500gくらい?何か肉塊が落ちた。


『あ、魔力があるわね。これ多分美味しいわよ』

「マジか!?・・・あいや。ジビエってあるもんな」


それと同じだと考えればウサギを食べるのは別におかしなことではないのか。

でも何で袋入りなんだ?いやそのまま落とされても汚くて拾わないだろうけど。


『想像より面白いわねここ』

「何かゲームやってる気分だ・・・あんまやったこと無いけど」


鍛錬ばっかりだったからな俺・・・


もう1体戦ってみようと辺りを探してみる。

意識して探してみると意外と周囲にいるようだ。


だがウサギ共は意外とこちらに気が付かないのか、視界内に入らない限りこちらによって来ようとしない。

音を立てても来ないのだ。耳悪いのかな。ウサギなのに。


「じゃあ一応の脅威度チェックということで」

『強化だけしましょうね』

「はいよ」

「ぎぴ!!」

「おっと・・・意外と勢いあるな?」


見た目からして攻撃は牙による噛みつきと体当たりの二つだろうと予想していた。

今来たのは体当たりだが、その勢いは想像していたより重かった。

小型犬がマジで体当たりしてきたくらいの勢いはあるな。

これ普通の人間でも油断してたら割と危ないかもしれないぞ?子供なら間違いなくアウトだ。


「素手だときついな間違いなく」

『最低でもナイフは欲しいわね』

「まぁ俺はいらないな。あ、面倒だから剣出して」

『言うと思ったわ』


体当たりしてきたウサギは受け止めておいたのでそのままさっくりと殺しておく。

特に斬りずらいとかは無い。防御力は意外と普通なんだな。


そしてまた肉と石が残る。

今度は石の方に注目してみよう。


「魔力あるくらいしか分からんけど、このサイズにしてこの魔力量は多いか」

『魔石に似てるわね』

「あの?じゃあそれで良いか」


魔石というのは、魔力を籠めやすい石だ。

魔物と呼ばれていた、大昔に存在していた存在が体内に持っていた物だそうだ。つまり内臓器官の一種なわけだ。

そのサイズによって魔物は強さが決まっていたらしい。

このウサギサイズだと大したこと無いんだろうが。だって小指サイズだし。


ちなみに人間にはこの魔石と呼ばれる器官は無い。何故かはグラディスも知らなかった。

なのでそういうものなのだと納得している。


「んで?何か分かったのか?このダンジョン(仮)については」

『そうねぇ。とりあえず大分下にまで広がってるようね』

「マジかぁ」

『あとここ、さっきのウサギみたいな魔物は無限に出てくるわよ』

「は?」

『あの門とこの内部自体が魔法陣の様な役目を持っているようよ。私の知ってるダンジョンはそんなものは無かったけれど』

「けれど?」

『それを極限まで完璧に再現した物・・・って感じかしらね』

「ダンジョンか・・・はぁ。面倒なことになりそうだな」

『暇にならなくていいじゃない』

「俺は暇でも良かったよ全く」


これが出現したってだけで終われば良いんだがなぁ。

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