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魔力と現状確認

魔力とは何か。


それは古代の人間が持ちえた超常の力だ。

使い方次第では個人が国を亡ぼす事すら容易かったと言われている。


俺がその力に出会ったのは彼女・・・グラディスに出会ってからだ。

どうも俺は突然変異で体質が古代人と同じだったらしく、魔力に関する才能があったそうだ。

それを引っ張るような形で、あの神社の中で封印されていた彼女が俺をあそこまで導いた。

そこで起きたこと自体はまぁ割とあれなんだが・・・とりあえず、俺と彼女の今の関係は良好だ。


彼女に出会ったのがかれこれ10年前。

その間、俺はグラディスに教えを受ける形で様々な事を学んだ。

魔力の事、それを用いた戦闘術がメインだったか。

他にもいくつか。世界には未だ人類が解明できていない、認知すら出来ていない不思議があるのだと教わった。


そんな話を、幼いころから聞いていたのだ。

だからこそある考えに至った。


もしかしたらこの世界はそのうち、自分しか戦えないような脅威が来るのではないかと。


落ち着いてほしい。厨二病・・・とは違うのか?俺普通に魔法使えるし。

いやでもあるかどうかも分からない危機に備えようとしていたのは事実なんだが・・・


とにかく、俺はその危機(笑)に対して備えるようになった。

グラディスもそれは否定しなかった。

これは彼女が俺を揶揄ったとかではなくて、実際にその可能性がありえたからだ。


だから中学卒業までの10年間。俺は鍛え続けた。

体を鍛え、グラディスに魔を学んだ。

その結果俺は人間を超える能力を手に入れることが出来たのだ!


・・・使い道無いんだけどなこれ。


では何故急に中学卒業と共にその考えから脱却できたのか。

答えは簡単。確かめたからだ。


偶然その時期に、グラディス曰く魔法を使うのに最も適したタイミングと言う日が来た。

そのタイミングで俺はこの地球と言う星全体を魔法で調査したのだ。

それだけで危機がどうこうというのは分からないが、それでも魔力の有無は分かる。


その調査の結果・・・この世界に魔力を保持している生命体は俺しかいなかった。

何ならグラディス以外の魔力を宿した特殊な武器や道具すら殆ど無かった。

あったとしても壊れかけ、ただそこにあることしか出来ない様な状態。


つまり、世界の危機になるような力を持ったものは何一つとして存在しなかったのだ。


それを知った時二人して愕然とした。

俺は昔からグラディスに色々教わっていたから、魔という存在が不滅なものだと思っていた。

グラディスの認識だってそうだった。


だがよく考えてみれば、グラディスと初めて出会った時彼女は弱っていた。

あまりに長い時間封印され続けたせいで、力のほとんどを失っていたのだ。

恐らくあと数日俺があそこに行くのが遅かったら、俺と彼女は出会うことは無かっただろう。

それだけ長い期間。彼女は封印されていた。


それは他の魔も例外では無かったのだろう。

とっくの昔に、グラディスの同類たちはこの世界から消えていたのだ。


じゃあ何も起きなくない?と悟るのに時間は掛からなかった。

これまでの時間が無駄だったとは言わないが・・・まぁ緊張感は抜けたよねっていう。


そんなタイミングで急に起きた、空気中に魔力の残滓が混ざると言う事件?発生。

正直勘弁してくれと思った。一回気が抜けたから何かやる気出ない。


「つっても分かりやすく濃くなってる方向があるからむかつく」

『調べないといけないものねぇ』


母が用意してくれた朝食を食べて外に出ると、四つの方向に魔力が濃くなっているのが分かる。

一つは最寄り駅の方向。二つ目は公民館の方向。三つめは近所の山の方向。四つ目は山に近いが、ちょっと遠い気がする。

距離的に考えるのなら、まず調べるのは公民館の方だろう。

だが濃さというか、ちょっと頑張って感覚を伸ばすと駅の方が魔力が濃い事が分かる。


「なら駅かねとりあえず」

『そうねぇ。魔力多い方が変化があったらわかりやすいわね』

「じゃあ決定と」


駅までは自転車で10分ほど。正直あまり近くはない。

だが俺の場合は走った方が速いため走って向かう。

こういう時は鍛えてきたのが無駄にならずに済んだなと思う。

何も起きなければ適当にスポーツ選手になってもよかったかもな。


駅まで五分ほどで到着する。

まだ朝だからか、思っていたより人は見かけなかった。


だけど通勤時間なので駅まで来れば人がいる・・・と思ったのだが。


「ちょっと想像と違う人がいるな?」

『警察いっぱいね』


警察が駅を封鎖している。

だが封鎖にしては微妙に人が少ない?

魔力を感じた方向は複数あったから、もしかしてそちらの方にも向かっているのか?


そして駅には、見たことのない門が立っていた。

魔力の発生源だ。


「あれか・・・」

「はいごめんなさいねー。今ちょっと駅使えな・・・あれ?君パン屋の」

「ああ。常連の」

「お出かけ?でもごめんね。ちょっと今駅入れなくってねー」


その門を見ていると、さっと視界を遮るように婦警さんがやってきた。

やんわりと立ち入り禁止ですと伝えられるが、その人がうちのパン屋の常連さんだった。


丁度いい。ちょっとだけ話を聞けるかもしれない。


「使えないって、あれが原因?」

「あー・・・まぁそうよね。見ればわかるわよねぇ」

「あんなの昨日までなかったから。何なのあれ」

「さぁ・・・私達もあんまり聞かされて無くて」

(グラディス?)

(本当に見たいね。嘘はついてないわ)


グラディスに嘘かどうかを判定してもらった結果本当の事だった。


現場にいる警察・・・つっても常連さんは駅前の交番の人なんだが。

その人にも情報が来ていない。

もっと上の立場の人なら何か知っているか?

いやワンチャンそれすらない可能性はあるか。まだ中調査していないとか。


「って、これ電車どうなってんの?」

「あれ知らない?全部止まってるわよ?」

「マジ?」

「マジ」

「マジかぁ・・・じゃあ帰るしかないかー」

「ごめんねーって、警察何もしてないんだけど」

「それはそうっすね」


常連さんに別れを告げて駅から離れる。

その間にグラディスと確認を行う。


「魔力の発声源はあれで間違いないな?」

『えぇ。だけど妙ねぇ。変な漏れ方をしていたわ』

「変な?」

『意図的に漏らしている感じね。それもごく微量に』

「微量?空気中に漏れてるのにか?」

『不具合が起きない様に態とやってる感じかしらね。何となくそう感じたわ』

「なるほどな・・・」


もっと近くで観察できればより詳しく分かるそうだ。

そうなると別のポイントにも行かないといけない。


どこにいるのかは問題だがな。

一つ公民館に関してはダメだろう。警察は恐らくあちらにもいるはずだ。

なら残り二つ。家の近くの山か、さらに奥か。

ただ奥の方はなぁ。純粋に遠いか?だって狭山湖の方だもんなぁ・・・


「山だな。あそこに人は来ない」

『決定ね』


進路を変更し、さらに加速して山の方へ。

この際出来るだけ人に見られてもおかしくない速度に抑えておく。

あんまり速度出しすぎると色々面倒になるからな。

これも十年間の鍛錬で身に着けた知識の一つだ。


加速したので15分ほどで目的地に到着。

近づくとはっきりと分かる。駅に合ったものと同じ魔力を感じる。


「あるな」

『人もいないようね。好都合だわ』

「全くだよ」


ここって一応うちの敷地内なんだよな・・・無駄になってるけど。

正確には祖父の持ち物なんだがな。

あの人無駄に土地だけ持ってるんだよ。売ればいいのに。

まぁ今はラッキーだ。不法侵入になったりしないし。


山に入り、魔力をたどる事5分。

一応ゆっくりと進んで行くと、目的の門を見つけた。


「ちっさい」

『小さいわねぇ。でも魔力漏れはこっちの方が多いわね』

「は?どういうことだ?」

『さぁ。知らないわよ理由なんて。でも漏れが多いのは確かよ』

「謎が謎を呼ぶなぁおい」


まぁグラディスが観察を終えるまで一旦休憩だな

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