表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魂の砂漠~聖女も悪魔も恋してる。ラバダブみたいな、熱い恋しちゃってる!~  作者: 81MONSTER
【ラスタの書】第1章
6/48

第5節【Reggae to the Magical】



 ラサを見失ってから、俺は亡霊のようにさまよい歩いていた。

 生きる意味を失い、それでも再び()えることを信じて、なんとか生きてきた。



 そんな時に、ハンと出逢(であ)った。

 その時も、俺を救ったのは音楽(ラガ)であった。




 ――光をくれ。




 ラサとはまた違った、力強くも澄んだ歌声であった。

 取り憑かれたように、星空の真下で歌うハンの元に吸い寄せられていた。確かその時も、ハンは俺にクラッシュを仕掛けてきたんだ。



「何か、おかしくねぇか?」



 ハンの(いぶか)る声が、俺を現実へと引き戻していた。


 南方から、禍々(まがまが)しい魔力を感じた。良く知るその邪悪な気配に触れて、記憶の奥そこから怒りがこみ上げてきた。気がつくと、俺は我を忘れて駆けていた。



「……あ、おい。ラスタッ!」



 ガゼルの制止も聞かずに、俺は一目散に走っていた。



 五感に絡みつくようなこの(いや)な感覚は、紛れもなく悪魔の気配だ。不意に、ラサの姿が脳裏(のうり)をよぎる。

 もう、あのころとは違う。何もできずに、後悔するつもりはない。



Blowブロウ 先走る疾風のフロー。(まと)いし音に乗り、駆け抜けるフロア。先駆けて、飛び込む俺は漆黒の(ブラスト)!」



 【ラガの魔法ラガ・トゥ・ザ・マジカル】で生み出した風に乗って、俺の動きは更に加速する。ラガを媒介にした魔法(マジカル)を、ハンから教わった。



 六年前から、俺は自分自身の魔力を封印した。閉じ込めることによって、魔力を貯める技術をリデルから学んだ。もっとも、肝心な時に何もできないでいたが――魔力の無い俺は、ラガから生まれる力を、利用するしかなかった。



「おい、ラスタッ!」



 後方から、ガゼルとハンも同じように追いかけてきた。



「一体、どうしたってんだ?」



 ハンの問いかけを無視して、俺は次のラガを口ずさむ。



Fireファイア hurryハリィ upアップ! 針を喰らいな! 尖った高速のlightライタ 着火。刺さって、弾けて、飛んじまいな!」



 前方の悪魔の一団に向かって、無数の針が飛来していく。

 悪魔の数は目測(もくそく)でも、十を超えていることがわかった。その半数に、炎の針が刺さって爆発が起きた。



 奇襲によって、数を半減させることができたが、まだまだ気は抜けない。

 悪魔の標的は、聖女の一行で間違いなかった。フードを被った女が、複数の騎士に護られるようにして後方に控えている。




 ――自然と心博(しんぱく)が、跳ね上がる。




 形勢は劣勢(れっせい)だった。騎士とはいえ、悪魔を相手にすることに慣れていないのか、次々に倒れていく。このままでは、全滅するのは時間の問題だった。大きく息を吸い込むと、俺は更に声をあげた。



「いくぜッ!」



 己自身を鼓舞する声に、聖女が気づいてこちらをみていた。顔までは解らなかった。




 ――ラサだ。




 直感的に、そう理解した。



 俺は今日のために、生き(なが)らえたのだ。この時のために、強くなったんだ。今度こそ、ラサを守護(まも)ってみせる。


 背に()った大剣・ベルセルクを引き抜くと、悪魔の群れに飛び込んだ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ