第9節【猫の悪魔ニャガマフィン】
「先程のご無礼をどうか、お許しください。聖女さまを大切な客人として、丁重に向かい入れたく存じます」
跪くロインの本心までは解らないが、とりあえずは争いを回避できた。
安堵に胸を撫で下ろそうとした時、何かに掴まれてわたしの身体から重力が消えた。
「――リラッ!」
悲鳴を上げながら、ラスタの叫び声が聞こえてきた。
何が起きているのかが、解らない。視界から景色が、物凄い勢いで流れていく。
わたしを追い掛けるラスタの姿が、ゆっくりと消えていった。
どうやら、わたしは連れ去られているようだ。
一体、だれが?
まったく事態が、飲み込めなかった
どうすることも出来ずに、わたしは連れ去られていった。
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しばらくして、わたしは解放された。
わたしの目の前には、大きな白い猫がいた。ピンク色がまだら模様に入った猫が、わたしを攫った犯人のようだ。
「アチキはラガの悪魔 ニャガマフィン Mi luv yu にゃがにゃが 粋なruffinな ニャガマフィン ラガラガで laba-labaな raggamuffin」
突然、ラガを始める巨大猫の名は、ニャガマフィンというらしい。
どうやら、敵意はないようだ。
「〝R〟〝I〟〝R〟〝A〟 Mi Name〝RIRA〟 Ting-A-Ring a La-La-La ニャガマフィンとのSession 刻むぜ Mi SOUL」
「にゃにゃにゃにゃにゃにゃはっ!」
わたしもラガで返事をしてあげると、ニャガマフィンは嬉しそうに返してくれた。
「にゃにゃにゃにゃにゃにゃはっ! にゃにゃにゃにゃにゃにゃはっ!にゃにゃにゃにゃにゃにゃはっ! にゃがにゃがなラガ リディムがなくても 乗せるダンスホール 上げるGun Shot だから身体 揺らして にゃ~が にゃがにゃが ニャガマフィン!」
歌詞は変わっているが、わたし的にはニャガマフィンのフローは好きなやつだ。
「ニャガマフィン にゃがにゃが Yah man!」
拳を差し出すと、柔らかな肉球を差し出してきた。
胸が、きゅんとした。
「ニャガマフィン、かわいいっ~!」
気付けば、ニャガマフィンに抱きついていた。
「にゃはっ。ニャガマフィン、かわいいっ!」
どうやら、ニャガマフィンもご機嫌なようだった。




