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魂の砂漠~聖女も悪魔も恋してる。ラバダブみたいな、熱い恋しちゃってる!~  作者: 81MONSTER
【ラスタの書】第2章
39/48

第11節【聖女の揺り籠】



「揺り(かご)のなかに愛を(そそ)ごう」



 それは《聖女の揺りかご》と呼ばれる曲だった。

 過去に聖女が、歌ったと言われる子守歌である。ラガではなかったが、ロインを含めた皆が聴き()っている。



「祝福された愛を注ごう」



 ロインが一人の少女に、目で合図を送っていた。


 みすぼらし身なりからして、奴隷の身分であるのが解った。少女が蓄音骨(レコード)を取り出すと、ラガのリディムが流れてきた。どうやら少女は、演奏者(セレクター)のようだ。流れるリディムは、聴いたことのないものであった。



 単に知らないだけかもしれないが、少女のオリジナルの(オケ)かもしれない。



Loveロブ innaイナ deadデッド 愛に包まれた死をあげる」



 歌詞(リリック)が突然、違うものに変わった。

 それは紛れもなく、ラガの領域である。



 ――そう。それは《聖女の揺り籠》のDUBダブであった。



Loveロブ innaイナ deadデッド 死にいだかれて眠れ」



 楽しそうに笑うリラに、ロインはすでに釘付けになっている。

 魅入みいられて、目を(そむ)けられなくなっている。



Gi yu deディ deadデッド,Donドン dadaダダ deディ deadデッド,Babylonバビロンに堕ちた Donドン dadaダダGUNゴン!」



 ゴンフィンガーを、ロインに向けて――リラは交戦的に、笑った。



「揺り籠のなかで 安らかに眠れ」



 ロインもつられて、笑っていた。

 その心中は、解らない。



「愛のなかで 永遠に眠れ Loveロブ innaイナ deadデッド,Donドン dadaダダDeadデッド!」

 リラを睨みつけるロインが、懐から銃を取りだした。



 ――刹那、緊張が走った。俺が動こうとすると、リラは手で制した。



「随分と、(きも)()わってんじゃねぇか?」



 ロインが薄氷(うすらい)(ごと)(わら)うと、三つの銃声が鳴り響いた。

 天に向かって、三つの弾丸が飛んでいく。



「見事だ!」



 そういうと突然、ロインが(ひざまず)いた。



「先程のご無礼をどうか、お許しください。聖女さまを大切な客人として、丁重ていちょうに向かい入れたくぞんじます」



 急に改まるロインの本意ほんいまでは解らないが、彼なりの最上級の敬意(リスペクト)である。

 横暴おうぼうなロインが人前でひざまずいて、敬語を話すなんて、普通に有りねぇことだ。裏があるのか、本当に気に入られたのか――と、その時だった。



 視界を大きな影が、横切っていった。



「――リラッ!」



 俺の叫び声と、リラの悲鳴が交差していた。



 大きな猫が、リラを(くわ)えてさっていった。

 必死で走るが、追い付かない。



「リラぁッ……糞がッ!」



 視界から、巨大猫の姿が消えた。



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