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魂の砂漠~聖女も悪魔も恋してる。ラバダブみたいな、熱い恋しちゃってる!~  作者: 81MONSTER
【ラスタの書】第2章
38/48

第10節【領主ロイン】



 街の中央に、巨大な宮殿が(そび)えている。



 その脇には、泉が沸いている。領主ロインの私有地であり、泉の水はロインの許可なくして飲むことができなかった。私設兵を保有しており、ロインの意にそぐわない人間は彼らの手によって裁かれるのだ。



 だから一応は、街には秩序が存在する。



「ヤーマン、旦那ぁ~!」


 若い髭面(ひげづら)の男が、パイプをくわえている。



「よぉ~、ロイン。久し振りだなぁ~ッ!」



 昼間っから麻薬を吸引するその姿は、領主にはとても似つかわしくない。



 はっきり言って、俺はロインが大嫌いだ。いけ好かないし、関わりたくない。本当なら、ここに来るのも嫌だったが、目的があるので仕方がない。

 リラがあからさまに、不審そうな眼差しを向けている。



「へぇ~……」



 品定めをするような目で、リラを見ていた。

 イラッときたが、問題を起こす訳にはいかない。



「聖女様が、こんなとこ来ちゃ駄目だよ?」



 小馬鹿にしたように、ロインが笑った。

 ぶん殴ってやりたい所だが、目的を果たさなければいけない。平常心を保たなければ――



「おい、ロイン。その態度は、ねぇだろッ!」



 ガゼルの叫び声が、辺り一帯に響き渡った。




「わりぃな、旦那。ちょっと揶揄(からか)っただけだ。そんなことより、なんの――」

「そんなことってのは、どういう訳だ?」



 ハンが割って入る。



「俺に喧嘩、吹っかける気ぃ~?」



 途端に鋭い眼光で、一同を睨みつけるロイン。

 急激に魔力が、跳ね上がるのを感じた。


 いま争いになれば、かなり面倒なことになる。すでに一触即発のピリピリとした空気だ。ひとつでも間違えば、あっ……と、いう間に誰かが傷つくことになる。



 ――と、その時だった。



 美しい声が、辺りを埋めていく。

 ラサのハミングに、皆が心を奪われていたんだ。



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