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魂の砂漠~聖女も悪魔も恋してる。ラバダブみたいな、熱い恋しちゃってる!~  作者: 81MONSTER
【ラスタの書】第2章
35/48

第7節【大剣・ベルセルク】



「怪我は、してねぇか?」



 酒の入ったグラスを、こちらに回しながらハンが問う。


 グラスを受け取りながら、無言でうなずく。正直なところ、色々と混乱している。



 ラサの方を見ると、皆と歌いながら踊っていた。どんな時でも、笑顔で皆を照らすところは、何も変わっていなかった。ラサを見ているとなんだか、ホッ……としている自分が居る。



「バビロン野郎に Bombo(ボンボ) claat(クラッ)!」




 ガゼルの歌声が、こちらまで聞こえてくる。


 グラスを一息に(あお)ると、少しだけ冷静になれた。



 アスクレピオスの出現に、怒りで我を失ってしまった。もっと冷静になっていれば、もう少し違う展開もあったはずだ。無駄に魔力を消費して、実力の半分も出せていなかった。ラサを護るどころか、逆に護られていた。




「――なさけねぇ」




 思わず本音が、零れていた。



「まぁ、気にすんなよ。そう言うことだって、有んだろ?」



 慰めるように、ハンが酌をする。


 並々と()がれた酒を煽ると、俺は自分のテントに向かった。



「アレを、出すのか?」


 酒を飲みながら、ハンが横目に眺めている。



湾刀(ダーブ)じゃあ、話しになんねぇからな。これからは……肌身離さずに、身につけとくよッ!」



 そう言いながら、リデルの形見である大きな剣を取り出した。


 普段は重量があるので、湾刀(ダーブ)を腰に()げている。勿論、戦闘で扱えるように、鍛錬はしている。普段の生活では、かえって邪魔になるので仕舞い込んでいただけだ。――だが。その考えが、甘かったようだ。



 アスクレピオスでけだはなく強大な敵が訪れた時に、すぐに対応するには常に構えておく必要が()った。今回のことで、それを思い知らされた。


 大剣・ベルセルクには、強力な魔力が籠められている。柄には三つのスロットが(あつら)えられていて、蓄音骨(レコード)を読み取ることができる。



 ――()まりはラガを、魔力に変換することができると言うことだ。サウンドシステムの備わった武具は、極めて稀少なんだ。だから、お金では決して手に入らない。



「ヤバい……めっちゃ、重い!」



 ハンが片手で持ち上げながら、余裕の笑みを浮かべている。


 うまく扱えれば強力な武器となるが、かなりの重量があるため鍛錬が必要だった。どんな時でも鍛錬は毎日、欠かさずにしている。


 背に負うと、結構な重圧がのしかかっている。



「明日、あさイチで街にいこうか?」



 ハンの言葉の意図は、すぐに理解(わか)った。



「ラスタにダブプレートを、送りたいんだ」



 そういうと、ハンは酒をボトルごと(あお)った。



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