第6節【やろうよ】
「わたしは夜を抜けだし 〝Fremyr〟な時間を過ごすの そう Microを履いて この Rub-a-dabで吐いて 気持ち上げて So Take it Easy」
リラの歌声が、街外れの酒場に響いている。
秘めやかに流れるリディムに乗せて歌う彼女は、とても楽しそうだった。私の心も自然と踊る。
何も考える必要はない。只、感じるままに――思いのままに、歌えばいいんだ。音楽はいつも、心を躍らせてくれる。
「街の外れにある この酒場が今宵の〝Stage〟 そんな墓場みたいな 場所 に集まった仲間 Yo 〝STAND UP〟 そう これが〝STANDARD〟 だから次は お前がくれよ Next Stage!」
リラの後に続くオジサンのラガは、あまり良くなかったがそれでもリラの心は幾分かは晴れやかなようだ。
「下手くそなんだよ 下がってな! お前らも こんなクソみたいな音で 上がってんなよ!」
小さな女の子が、強引に割って入ってきた。
「アタシのMagicで 上げてやる! だから このlyricで 歌ってやる! そんで 飛んで やるよ Pon de MIC!」
少女がリラに、喧嘩を吹っかけてきのだ。
「Pon de MIC! を ありがと~! だから 起こすぜ Pandemic! MIX な フロー で HELLO HELLO で 〝ARROW〟 貫く心が クラクラする間に Warning Warning だから 聴いとけ わたしからの LOVE LIVE な 〝Rub-a-dab〟」
――このDUB に捧げるLOVE ゆっくりとFLOWに繋げる lyricは私とRIRAの〝Rub-a-dab〟 だから 気付いて築いて音の塔 そのTONEこそが 心を躍らす 今夜のPHONE!
「Microphoneから放つ TONE 遠くに飛ばす 音と心 此処に届ける Ya! 皆の想い 個々に籠め いま DUBに乗せて歌う! lyricとリディムに秘めた悪魔の声 私の心ん中のその声に SONGを贈るよ このFi mi sound gi ca fi ruffin!」
それは、私に向けたDUBで在った。リラが私の声に気付いてくれたんだ。
そして、返してくれた。
初めてリラと繋がれた気がして、嬉しかった。
また少しリラのことが、好きになれた。
「お姉さん、名前は? アタシはエミリア。MIC SONG なHEART 沸かすから 憶えておいてね Give me FLOW」
問答無用な問答をこめて、少女――エミリアがリラに問い掛ける。
間髪入れずに、リラは応えた。
「〝R〟〝I〟〝R〟〝A〟 Mi Name〝RIRA〟 Ting-A-Ring a La-La-La エミリアとのSession 刻むぜ Mi SOUL」
エミリアの肩をとって、更に続ける。
「Yu love de beautiful RIRAが歌えば――」
リラの意図に気付いたのか、エミリアが後を歌い始める。
「Yu love de beautiful わたしのこの愛が――」
ゆっくりと呼吸を合わせて、併せていく。
『Yu love de beautiful 重なるこの声が この時間と共に溶けていく』
それは、45のラガだった。リラとエミリアの声が重なった。
――と、不意に
エミリアが歌い始める。
「始まりを告げる PARTYはLOVE 頭 身体 揺らしながら ぶっ飛んで NOW でも このまんまじゃ なんだか足りねぇ それをRIRAが埋める」
唐突に振るが、リラはきっちりと巻いている。
「愛がなくちゃ なんにも救われねぇ けど それだけじゃ なんにも生まれねぇ から RIRAが歌う 愛を孕んだ 救いのラガ」
ゆっくりと、音とともに時間が――夜が溶けて解けていく。心が淡く溶けていく。
「Hand inna Pocket 詰め込んだ バイブスが 音を立てて NOW 弾けて Fry to di yu go」
リラのラガに併せて、エミリアが踊りながら歌う。
「だから エミリアは歌う RIRAとのLIVE 二度とねぇTIME 織り込んだRHYME」
この時間が、とんでもなく楽しかった。だから、もう我慢なんてできなかった。
「お利口だ LOVE くれたエミリアに 愛を渡す 混ぜ込んだJAM 塗り込んだ GUN」
ゴンフィンガーを掲げて、二人は笑う。
だから、悪魔は目を覚ます。
「Ban! Ban! Ban! 私はラサ 音と夜をまとった悪魔 驚いてないで やろうよSession」
気付けば私は、表に出てきていた。
呆気に取られるエミリアが、何だか可愛らしかった。




