第4節【Dance pon di corne】
教会には高価な調度品が、いっぱいあった。
司祭が私腹を肥やしているのか――それとも、聖教会そのものがおかしいのか――純銀製の十字架や金のアンクレットなどがあちこちにあるのだ。
はっきり言って、そんなものは要らない。
聖教会が潤沢であることを、だれも知らない。
だから私が調度品を、売り捌くのだ。そのお金で食べるものを買って、貧民街で配るんだ。
――今日は満月。月明かりが、良い感じに照らしてくれるんだ。
「月が満ちると、悪魔が正義をぶっ叩く。偽善は要らねぇから、日銭も足らねぇ人たちを救ってくれ。お願いだから、彼らの涙に気付いてくれ。そんで宣ってねぇで、歌ってくれ。ラガは駄目。呪われてるから、禁止しますって悪魔の私が聖女の真似事。お前らのおままごとと、どう違う?」
多くの貧しい人たちが、此処には居る。
だけど、聖教会はそれを認知しない。見捨てたんだ。
切り捨てた人にだって、人生がある。痛みもある。だけど、彼らは幸せそうに笑う。何故だか私も、自然と笑顔になる。
だから、歌うんだ。
だって、歌いたいんだ。
「ねぇ、皆さん――どう、思う?」
リディムに乗せて、問い掛ける。
「聖教会なんて、クソ喰らえ!」
皆さんが一斉に、応えてくれた。
「そうだね。ありがと――Mi nah baas だけど 皆さんと もっと繋がりたい。どうかな?」
皆さんは、私が悪魔だって知っている。
「繋がりたいから、歌ってくれー!」
リディムに乗せて、応えてくれた。
本当に、感謝だね。
「BIG UP 本当に感謝 だからlisten そして 楽しんでね! Yo ready man 行くぜ!」
どこからともなく、弦楽器や打楽器などの音が流れてきた。
突如として現れたセレクターたちの音に乗せて、気持ちと声を上げて歌い始める。
「Dance pon di corne Enjoy 夜空の下 繋がってこう Chain」
私は歌う。
この星空の片隅で――。
「Dance pon di corne Enjoy 皆で歌おう 輪になってCom 皆で笑おう」
私は踊る。
この月明かりの片隅で――。
「change the world このWordがこの世界を変える 心が還るべき場所へと いま生まれ変わる」
ずっと、私は彷徨っているんだ。
この世界の片隅で、自分が誰かも解らずに――何かを求めるかのように――わたしはずっと、答えを求めているんだ。




