1/1
最初
「魔法術と魔法は根本的には同じものです。ではこの二つの明確な違いが何かというと能力の規模にあります」
あどけなさを残しつつも凛とした女性の声が講堂内に響き渡る。声の先にはずらりと机と人が並んでいる。
「以前の魔法とは人が行うことを指していました。木を切る、水を汲む、火をおこす。人類が起こすことのできる事象が魔法と定義されていたのです」
100を超える聞き手の反応は三者三様であった。真面目に書き写す者もいれば、隣と談笑している者もいれば、机に突っ伏している者もいる。
「しかし、長い魔法の歴史の中で人類が成し遂げることができない。人智を超えた能力を扱う者が現れ始めました」
日が昇り、部屋の温度が高くなったからだろうか。睡魔に襲われる者が次第に増え始めている。1時刻丸々演説に割いていればその誘惑に抗うことは容易ではないだろう。
「そして、それまで魔法を魔法術として、未知の能力を魔法と呼んでいました」
例に漏れず、壁側で日差しを浴びるようにしてもたれかかっていた私は、
「権能を授かった魔法使いは世界に選ばれたとされ―」
手元から筆が落ち、目を覚ました。
「“純正なる魔法”と呼ばれています」




