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TS少女は逃げ惑う  作者: 海夜
2章 恋せず華やぐTS少女
13/14

12.令嬢を隠すなら

 王太子の婚約者探し婚活パーティーとか言ったが、あくまで誕生日パーティーの体を取っているが故に、やること自体はそう多くはない。

 私みたいなモブ志望系令嬢がやることといえば、


 1.お父様にエスコートされて微笑みながら入場

 2.怪しまれない程度の自然な流れで壁に張り付いて花になる。

 3.出来る限り興味を持たれない普通な振る舞いで王太子に無難な挨拶と陳腐なお祝いの言葉。

 4.王太子から可能な限り離れ、そのまま再び壁に張り付き花になってお父様の迎えを待つ。


 以上だ。


 この立ち回りを徹底すればきっと「あ〜、そんな令嬢もいたよね〜」程度の認識のままこの悪夢を終わらせられる、はず……


 ……待てよ?



 この流れ、なんか見覚えが───



 !



 ───悪役令嬢、転生








 あっっっぶねぇ〜!!気づけてよかった!!!!

 これアレだ……!『このオレに媚びてこねぇ女?……フ。おもしれぇ。』ってなるやつだ!!あっっっっぶな!!!!


 いや本当に危なかった。危うく数多の転生悪役令嬢の皆さんと同じ轍を踏む所だ。

 この状況の最善手は影薄系令嬢じゃない。むしろ逆……木を隠すなら森の中、私を隠すなら令嬢の中、だ。


 作戦変更!私は、王太子のファンに紛れ込む!









 ファンの中に紛れ込む……簡単に言ったが、これはかなり難しい。

 なんせ好きでもなければそもそも結婚したいとすら思っていない相手に白々しくアピールしなければならないのだ。



 アピールが雑すぎると『アイツ、本当は俺のこと別に好きじゃないな……?その上であの態度……フ。おもしれぇ。』ってなるし、

 逆にアピールし過ぎると『あの子、めちゃくちゃ好き好きアピールしてたな……それに凄く可愛かった……トゥンク♡』ってなりかねない。

 いや正直、今回ばかりは母譲りの美幼女フェイスが恨めしい。美幼女でさえなければ強引に突破できたはずなのに。


 とはいえ、厚化粧で誤魔化すのは論外だ。このスーパー美少女フェイスにケバい化粧とか元オタク系男子として受け入れ難いし、純粋に顔面が重い上に暑苦しくて気持ち悪い。それにそんな化粧を母やアリシア(私の専属メイド)は絶対に認めないだろう。アリシアってばこういう時本当にうるさいのだ。


 えーーーーでもどうしよう。美幼女でありつつ押し強めで、かつ印象に残らない……いや本当に難しいな。……演技力も自信ないし。



 だが、やるしかあるまい。私の明るい未来のために!……やることはひとつ、周りの一般貴族令嬢の皆様をコピる!今までもやってきたことだ。難しくない、はず!



 ふふ。



 ごめんなさいね、お父様……このパーティー、逃げ切らせて頂きます……!





 ◇◇◇





 煌びやかな装飾、壮大かつ軽快な演奏、そして心ときめく豪勢な料理の数々。

 そう、ここはまさに前世で思い描いていたような、異世界風立食会……!いやまぁ『風』っていうか異世界そのものなのだけれども。

 というかなんだこれは。どう見ても5歳児の誕生日パーティーじゃねぇぞ。……やっぱり婚活パーティーなのか、そうなのか。


 内心そんなことを考えながら他のご令嬢達に紛れて王太子に秋波を送(ってます感を出して)る私。自分で言うのもアレだが、一般媚び媚び令嬢感溢れる完璧な演技である。いやぁ照れちゃいますね!


 おや?そんなことを考えてたら状況に変化が……


 !? 王太子が、近づいてくる!?

 唐突なファンサービス(?)の気配に色めき立つご令嬢一同(私以外)。

 ほーん、さてはこの中に気になる女の子でも見つけたな?このムッツリ王太子(5)め。


 誰かに狙いを定めた様子の王太子が、自然な動作で誘うようにこちらへ手を差し出して───



「良ければ一曲、お付き合い頂けないだろうか。シャロン・シルファリア嬢?」



 あー……私かぁ〜

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