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魔法科高校入学

 月日が経つのは早いもので、前世の記憶を取り戻してからあっという間に5年が経過していた。

そしていよいよ魔法科高校に入学する時がやってきてしまった。

「お兄様、いよいよですね」

「そうだね。住み慣れた屋敷から離れて暮らすのは不便かもしれないけど一緒に頑張ろうな」

「はい。私はお兄様さえいてくれればどんな環境でも平気です」

魔法科高校に向かう馬車の中でマインとそんなことを話していた。

魔法科高校では生徒は全員学校内の寮で生活することになる。

そして、馬車が目的地に到着した。

「さあ、いよいよゲームのスタートだな。くるなら来てみろ破滅フラグ!」

そう学校の門の前で一人叫ぶのだった。

 そして俺は学生寮の部屋に案内された。さすがは貴族向けの部屋だ。内装はとても豪華だった。寮の部屋は貴族の位によって分けられていた。伯爵家の俺の部屋はなかなかのものだった。おそらくはマインやレオナの部屋も似たようなものだろう。

「お荷物はこちらでよろしいでしょうか?」

「うん。そこに置いておいてくれ」

メイドのエルザが衣類などの入ったトランクを部屋に運び込んだ。

ちなみに隣の部屋には使用人の部屋も用意されている。

在学中はエルザが俺の世話をしてくれることになっている。


 そして翌日に入学式が行われた。

俺はたくさんの新入生が集まる講堂を見回した。

(この中にゲームの主人公もいるんだよな)

しかし入学式では主人公を見つけることはできなかった。

学校内では主人公のことが噂になっていた。

なんでも、平民なのに魔力を持っていてさらにその属性は聖属性だという。

魔術の属性は、火・水・地・風・聖・闇の6属性がある。しかし、聖と闇の属性を持つものは極めて少ないのだ。

そのレアな聖属性を使えるのがしかも平民だというのだから噂にならないはずがない。

 その日の午後のことだった。レオナとマインが俺の部屋に遊びに来ていた。

そして、みんなでお茶を飲んでいたときの事だ。

「そういえばさっき聖魔術の平民の子に会ったわ」

突然レオナがそんなことを言い出したのだ。

「ブーッ」

俺は驚きのあまりお茶を吹き出してしまった。

「もう、お兄様はしたないですよ?」

妹のマインがハンカチで拭いてくれた。

「平民の子に会ったって、どんな風に?」

俺はレオナに尋ねた。

「どうって、ハンカチを落としたから拾ってあげただけよ」

やっぱりゲーム通りだ。ゲームでは主人公が落としたハンカチをレオナが拾い、手渡す時に偶然手が触れてしまい、レオナは照れながらも主人公に興味を持ち名前を尋ねるのだった。

「それで、その人の名前は聞いたの?」

「え?別に聞いてないわよ。ただ噂の平民の子に特徴が一致してたからわかっただけだし」

名前を聞かなかった?

少しゲームと展開が違う。

 同じクラスには主人公はいないので恐らくクラスなのだろう。

なかなか主人公に会う機会がなく、まだ俺は顔すら見ていない。

確かゲームではかなりの美形だったはずだ。

入学して数日経った頃のことだ。

「お兄様、私も噂の平民の方にお会いしましたわ」

マインがそんなことを言い出した。

「え?どこで会ったの?」

「図書館でお会いしました。魔法書を探してましたら偶然同じ本を手に取ったんです」

やはりゲーム通りか。

図書館でたまたま手が触れ合ったマインは人見知りの性格からか本を主人公に譲り逃げてしまう。後日再び図書館で主人公と会ったマインに、主人公がお礼を言いそこから仲良くなるのだ。

「それで、本を譲ったの?」

「いえ、私がどうぞと言う前に譲られてしまいました」

また少しゲームと違うな。

まぁ、ゲームと違い、今のマインは全然人見知りではない。兄のアレクがいじめなかったせいかな?

そして、いまだ主人公に出会わぬまま中間試験を迎えた。

この試験の成績の上位4名が生徒会に属する決まりになっている。

そして、その結果は・・・。

1位アレク・ノイマン

2位レオナ・ストロノーフ

3位エリス・クライン

4位マイン・ノイマン

だった。

ゲームでは俺は生徒会には入っていなかった。

それより問題なの3位だ。

エリス・クライン。

このゲームの主人公である。まさか主人公と一緒に生徒会に入ることになろうとは・・・。

そして翌日、生徒会にみんなが集まることになった。

俺が生徒会室に入ると、そこには生徒会長のリナ・スティアさん、副会長のマリア・クラエスさん、そしてマイン、レオナ、さらに見たことない美少女が一人いた。

「さて、全員揃ったみたいだな」

生徒会長のリナさんが口を開いた。

全員?まだ主人公が来てないみたいだけど・・・

そう思った次の瞬間だった。

「アレク様!お会いしとうございました。この日をどれだけ夢に見たことでしょう」

謎の美少女がいきなり抱きついてきた。

「なっ!」

「えっ!?」

レオナとマインが同時に叫んだ。

「えっと、君は・・・?」

俺が尋ねると美少女は少し離れてこう言った。

「いきなりすみませんでした。嬉しさのあまりつい・・・。申し遅れました、僕はエリス・クラインといいます」

なんと、ずっと怖れてきたゲームの主人公は見た目が完全に女の子になっていたのだった。


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