22話 新しい装備
ルインは今日真白から武器を受け取る為に、真白がログインするまでギルドハウスで待っている事にした。
ギルドハウスは1ギルドによって1つ与えられ、ギルドランクを上げる事で、グレードアップしていく。
昨日はギルドハウスに立ち寄らず、そのままクエストに行ってしまったので、このギルドハウスを初めに利用したのはルインはという事になる。
その事に少しだけ優越感を感じる。
そんな事を考えていると、ガチャリと扉の開く音がした。
そちらを一瞥することなしに「お、真白、来たか」と声をかける。
「いや俺カインだけど……」
という返事が返ってきて、ルインは猛烈に恥ずかしくなる。
この恥ずかしさは、少し違うが、小学生の時に間違えて先生をお母さんと呼んでしまった時と似たようなものがある。
「わ、悪かったな。昨日来れなかったからどんなものか見に来ただけだったんだが……」
「いや別にそれは構わない。俺が確認せずに声をかけたのも悪いしな」
その後、2人の間に沈黙が流れる。
ルインが心の中で「誰か助けてくれ〜」と叫びながら、頭を抱えていると、今度こそ真白がやってきた。
自然と2人の顔が安堵の表情に変わる。
「お、お二人ともどうしたんですか……?」
「い、いや何にも無かったぞ? なぁカイン?」
「あ、あぁ、そうだな。何も無かった」
真白が疑いの目線をこちらに向けてくる。
とりあえず話題を変える為に、「そ、そういえば新しい武器が完成したんだよな。早く見せてくれよ」と武器の話題に持っていく。
「はい、持ってきましたよ」
「へぇー真白さんって鍛治師だったんですね」
「そういえばサクヤさんとカインさんには言ってなかったですね」
「また今度俺の武器も頼もうかな」
そう2人は会話を楽しんでいる。話題を変える事には無事成功したようだ。
その事にホッと胸を撫で下ろす。
真白が「はい、これルインさんどうぞ!」そう言って箱を手渡してくる。
箱を開けてみると、防具一式とスナイパーライフル一丁とハンドガンが二丁入っていた。
早速防具を付け替える。
この防具は、防御力は高い上に、ルインの機動力を下げないようにゴテゴテとした鎧ではなく、布で普通に作られた服に近い。
色は黒色で、自分で言うのもあれだが、かなり似合っている。
「性能も良いし、サイズもぴったりだ。ありがとう、真白」
「いえいえ、こちらこそ喜んでもらえて嬉しいです」
そう言う真白の顔は少しだけ照れているように見えた。
やはり自分の作った物が評価されると言うのはかなり嬉しい事なのだろう。
「作って貰った装備の性能を見たいんだが、付いてきてくれるか?」
「もちろんです」
「俺も暇だし行こうかな」
と2人の同意を得て、近くの上級者エリアへと向かう。
カインがいるなら強いプレイヤーやモンスターが出てきたとしてもある程度は何とかなるだろう。
まずは目の前にいるジャイアントベアーの頭をスナイパーライフルで撃ち抜く。
今までの武器ならヘッドショットを決めても一撃で倒せなかったモンスターであったが、敵の体力は一瞬にして無くなった。
「やはり初心者用の武器とは全然違うな……」
「当たり前だろ! てかよくお前今まで初心者用武器なんかでやってこれたな」
「元々はヘッドショットを決めれば一撃で相手を殺れてたから問題なかったんだよ。まぁもう修正来ちゃったけど……」
次はハンドガンの性能を確かめてみる。
こちらもスナイパーライフル同様、初心者用武器とは桁違いに強くなっている。
最後に昨日獲得した〈神の雷〉を使用してみる。
スキル発動に従って身体がスキルを使用する為に動かされていく。
銃を上に向け、そこから一筋の光が放出され、それが幾つもの雷となって周りに降り注ぐ。
MPを確認してみると、防具のおかげでMP量が増えていたので、まだまだ余裕がある。
「ルインは昨日の敵からそのスキルを獲得したんだな」
「ん? どういうことだ? 皆は違うのか?」
「あぁ、俺は〈雷神斬り〉っていうスキルだったぜ」
「私は〈スコール〉というスキルを獲得しましたよ。実際にスコールを降らすわけでは無いですけど、相手の視界を奪う事と速度を低下させる事が出来るみたいです」
「なるほど。使っている武器や役割によって同じボスを倒しても獲得出来るスキルが人によって違うんだな」
ルインは「やはりこのゲームは奥が深いな。それでこそやり甲斐があるというものだ」と思い、一層ゲームにのめり込んでいくのだった。
装備の性能は次の話で書きます!
もしこの作品が面白いと感じていただけたら、ブックマークと評価よろしくお願いします。




