20話 裏ボス
敵に近づいていくと、相手の警戒範囲内に入った途端に相手は自身の後ろから幾つもの細い光線を作り出し、それでルイン達を攻撃して来る。
「まだ躱せない程では無いな。俺と真白で後衛をする。カインとサクヤは前衛を頼む」
「「了解」」
そう言って二人はみるみると敵との距離を縮めていく。
当然近くにいる二人に対しては離れているルイン達よりも多くの光線が降り注ぐのだが、二人はそれを苦ともせず敵のもとへと辿り着いた。
ルイン達は敵の攻撃を難なく躱しながら着実にダメージを与えていく。
3割程体力を削ると、相手がおもむろに立ち上がり始める。
「何をするつもりなんだ……?」
全員が警戒していると、敵は持っている杖の先に大きな炎の球を出現させ、それをこちらに放ってくる。
それを放つと、次は氷の塊を作り出し、それを分割して、ルイン達、四人全員に降りかかる。
ルイン達はそれを【魔力障壁】などを用いて防いでいく。
「どうやら相手は魔法を使い始めたようだな」
「そうですね……。前で戦って下さってる二人に防御力強化魔法をかけときます。万が一当たると大変なので」
「助かるぞ! 真白! その調子で後方支援を頼む!」
そうして、真白以外の三人はまた攻撃へと移る。
カインが【千連斬り】というスキルを使い、目にも止まらぬ速さで斬撃を繰り出すと、相手の体力がぐんぐんと減っていく。
相手の体力が5割を切ると、敵は雨雲を空中に集め始める。
その雨雲からこの辺り一帯に強烈なスコールが降り注ぐ。
「これじゃ何も見えないな……」
この強い雨の中では50センチ先くらいまでしか見ることができない。その上、雨で地面がぐちゃぐちゃになり、足が滑る。
この状況では【極限集中】を使っても相手が放つ光線を避け切ることが出来ず、何度か相手の攻撃を喰らってしまう。
「相手の攻撃が見えないことよりも、相手の位置が確認できない事の方が問題だな。これでは攻撃を当てることすら出来ない」
もうMPは残り少ないが【ヤマタノオロチ】を放つ事にする。
なぜなら、【ヤマタノオロチ】は自動追尾で勝手に敵の元へと向かっていってくれるからだ。
他の三人に【ヤマタノオロチ】が向かっていく方向に敵がいることを教え、ルインも【ヤマタノオロチ】が向かっていく方向にガトリングガンを使い、無造作に弾を放つ。
そうしているうちに相手の体力が減っていたのか、攻撃パターンがまた変わる。
上空から雷までも落ち始めたのだ。
4人ともそれを【魔力障壁】を使って防ぐ。だが、ルインの元々残り少なかったMPがゴリゴリと削られていく。
「これは流石にまずいな。早く戦闘を終わらせないと……。」
「私に考えがある。あの体力なら多分【神を滅する者】を使えば倒せると思うんだ。しかし、このスキル発動には少し時間がかかる。時間稼ぎは任せたぞ」
「任せておけ!」
そう言ってサクヤの上にも自分のものと同様に【魔力障壁】を展開する。
―――
MPポーションを飲みながら、自身とサクヤを守るために【魔力障壁】を展開し続けていたが、MPポーションももう尽きてしまい、そろそろ【魔力障壁】を維持し続けるのにも限界が近づいてきていた。
しかし、任せておけと言った手前こんなところで、弱音を吐くわけにもいかない。
ルインはもう周りに限界な事を悟らさないよう必死に強がる事で精一杯だった。まぁそのことも皆には見抜かれていただろうが……
「待たせたな。もう用意は済んだぞ!」
不意にそんな声が後ろから聴こえてくる。
ルインはその声を聞き、安堵する。
「どでかいの一発頼んだぞ」
そう言ってサクヤを送り出すと、サクヤはニヤッと笑い頷いて、颯爽とボスの元へと走っていく。
ルインはサクヤがボスの場所が分かるように【ヤマタノオロチ】を放つことも忘れない。
サクヤはボスの前まで行くと、天高く飛び上がる。
サクヤがハサミを振りかぶるとハサミが眩く輝き始める。そのまま、そのハサミを振りかざすと、ボスの体が真っ二つに切り裂かれた。
ボスの体力が一気に無くなり、光の粒となり消えていく。
それと同時にスコールが止み、その後に空にはとても綺麗な虹がかかっていた。
「綺麗ですね……」
真白が思わずうっとりとした顔で呟いている。
「そうだな。この景色が見れただけでも苦労してあのボスを倒した甲斐はあったのかもな」
それから少しの間四人は虹のあまりの美しさに見惚れていた。
虹が消えてしまい、クエスト完了の報告をしに行くことにする。
ルインは新たなスキルを手に入れた通知が鳴った事に気づいていたが、後で確認しても別に問題ないだろうと判断し、他の三人と共にそのままギルド紹介所へと向かって歩いていった。
更新が遅くなってしまいすいませんでした!!
少し、ストーリーが上手く思い描けなくて・・・
まぁそんなことは置いておいてもしこの小説が面白いと感じれば、ブックマークと評価置いていってやって下さい。