19話 中ボス戦~弓~
弓の中ボスの前にやって来ると、顔がこちらを向き、弓から矢が放たれる。
「今度は挨拶も無しかよ……!」
まぁ挨拶など無くても〈鑑定〉の効果で頭上に名前が表示されているので別に問題はないのだが。
相手が放ってきた矢を躱し、ヘッドショットを決めるが、相手の体力が1割ほどしか削れていない。
今度の敵は先程の敵とは違い、変形しない代わりに防御力が高めに設定されているようだ。
しかし、攻撃が当たるのなら問題はない。
「これなら意外と早く倒せそうだな」
そう思っていたのだが、相手の体力が7割をきったところで異変が起きる。
いつも通り矢を避けて攻撃しようとすると、後ろから飛んできた矢に当たったのだ。
何が起きたか分からず一瞬頭が混乱するが、その間にも相手は矢を放ち続けている。
とりあえず、放たれた矢を観察してみる事にした。
放たれた矢を躱して、そのまま攻撃するのではなく、躱した矢の方向を見る。
すると、矢が反転し、速度を上げてこちらの方向へと向かって飛んでくる。
「なるほど。矢が追尾式になったのか。今までヘッドショットで一撃みたいなことが多かったから気づかなかったが、ボスは体力ゲージの減りで攻撃パターンが変わる事もあるんだな……」
こちらを追いかけて二本の矢が飛んでくる。
それをジャンプして躱すと、ちょうど二本の矢がぶつかり、動きが止まった。
「矢が壊れると止まるのか?」
次は放たれた矢を銃で撃ち抜いてみる。
その矢は下に落ち、再びこちらへと向かって飛んで来る事は無かった。
なので相手が放つ矢を片方のハンドガンを使って防ぎ、もう片方の銃を使い、敵に攻撃をする事にした。
そのまま順調に相手の体力を削っていく。
そこまではかなり順調に行っていた。
相手の残り体力が3割程になり、また攻撃パターンが変わった時に問題が起きる。
なんと相手が弓を捨てて、まるで超能力の様に矢を浮かせて操り始めたのだ。
相手が一気に操れる弓の数はかなり多く、先程までの一本一本放っていた時とは、飛んでくる矢の量は段違いである。
ルインはその矢を防ぐので手一杯で攻撃に移るなどという事はできず、防戦一歩になってしまった。
相手の手数が多く、どうしても防ぎきれない攻撃が出てきてしまう。
その攻撃でルインの体力は既に半分を切っていた。
「どうするか、このままだと負けるよな……。何か手を打たないと」
そう焦っていると、急に自分の身体が緑色に包まれる。そして、自分の体力がみるみると回復していく。
周りを見てみると、この中ボス以外の中ボスと雑魚兵は全て倒し終えられており、他の三人がルインの支援へと来ていた。
「ルインさん! 大丈夫ですか? 私が回復魔法をかけるので体力はもうあまり気にしなくて大丈夫ですよ」
「ありがとう。サクヤとカインは攻撃に回ってくれ! 俺が弓を撃ち落とす」
そう言うと、二人が行動を開始する。
ルインは宣言通り、二人へと向かっていく矢を全て撃ち落としていく。
そうして二人は敵の頭の所まで一気に駆け上がり、二人の同時攻撃によって、残っていたボスの体力が消しとんだ。
「やはり火力が違うな」
あの二人がうちのギルドに入ってくれてよかったとしみじみと思う。
「さて、最後のあのボス倒しにいきますか」
そう言って四人並んで最後のボスへと向かっていく。
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