18話 中ボス戦~剣士~
「チッ! このままじゃ埒があかないな。俺が突っ込んで奥の4人を倒してくるから、真白のことを頼む!」
「任せておけ!」
サクヤがこちらに到着したことを確認し、雑魚を指揮している中ボス達の所へと向かう。
中ボスはそれぞれ剣、杖、弓、盾を持っていた。
後ろを見ると、カインがついて来ている。
「俺は剣のやつの相手をするからカインは残りの三体の内どれか一体の相手を頼む!」
「分かった。俺は魔法使いを倒してくる。あれが1番厄介そうだからな」
そうして2人は各々の目的の相手の所へと向かっていく。
遠くから見ていた時は分からなかったが、実際に中ボスの剣士の目の前まで来ると、かなりでかい。5mほどはありそうだ。
「我の名はサンドソードマスターである。いざ尋常に勝負!」
そう言って襲いかかってくる。
「モンスターの中には喋れる奴もいるんだな……。まぁそんなことは関係ない。俺がすべきことはこいつを倒すことだけだ」
斬りかかって来た相手の剣を華麗に躱し、そのまま相手の額へと弾を撃ち込む。
しかし、その弾は相手に躱されてしまった。いや躱されたというのは少し語弊があるだろう。自分の額の部分を少し変形させて、弾と同じくらいの隙間を作ったのだ。
そして、その隙間を弾が通過していく。こうしてルインの攻撃は、動くことすらなく躱されてしまった。
「自分の身体を変形させれるとか……、そんなのありかよ。まぁ砂だから流動性は高そうだけどな」
それなら弾数でゴリ押すだけだと思い、両手のハンドガンから出来るだけ速く銃を撃ち続ける。
しかし、それもことごとく避けられてしまう。
それならと思い、〈ヤマタノオロチ〉を放つがそれも避けられてしまった。
これこそ打つ手なしという状況である。
―――
十分程同じようなことを続けていると流石にルインも疲れてきた。息が上がり、肩が上下してしまっている。
てっきりゲームの仕様でスタミナ問題は解決されているものだと思っていたが、全くそんな事は無かった。
……たった10分動いただけで情けないと言うものもいるだろう。だが、普段全く運動をしない者にとっては10分の運動ですら厳しいのだ。
「どうした、もう終わりか? 来ぬならこちらから行くぞ!」
疲れ果てて動けないルインの元へサンドソードマスターの斬撃が襲う。最後の気力を振り絞りギリギリのところでそれを躱した。
疲れた頭では思考が上手く纏まらない。そんな頭を無理矢理回転させ、一つの妙案を思いつく。
「遠距離から撃って当たらないなら至近距離から撃つしかないよな」
〈ワイヤーショット〉を相手の肩へと撃ち出す。
そのままワイヤーを巻き取り相手の肩に登ろうとするが、肩の部分が崩れ去り、ワイヤーが外されてしまう。
地面へと落ちる前にもう片方のハンドガンから、もう一方の肩へと、〈ワイヤーショット〉を撃ち出す。
それを何度か繰り返し、ようやく肩の上へと辿り着く。
相手は肩を変形させ、ルインを落とそうとしているが、その前にガトリングガンに持ち変え、頭の横でぶっ放す。
その弾を避ける事に集中し始めたのか、肩の崩壊が止まった。
「これならっ! 当たるまで撃ち続けるだけだ!」
ようやく待望の一発が相手の頭へと当たる。
しかし、その一撃だけで相手が倒れる事はない。まだ敵の体力は半分以上残っている。やはり運営の修正が効いていているのだろう。
「一撃で倒れない敵は初めてだな。これくらいの方が倒し甲斐があるってものだ」
この至近距離でなら〈ヤマタノオロチ〉も当たるのでは無いかと思い、〈ヤマタノオロチ〉を放つ。
七匹は躱されてしまったが、一匹が相手の頭を撃ち抜く。
そのダメージだけでは倒すことが出来なかった。
しかし、相手の体が〈ヤマタノオロチ〉で撃ち抜かれた部分から紫色に変化していく。
おそらく毒が全身に染み込んでいっているのだろう。
肩の上に乗っているルインにも毒のダメージが入るが、〈毒耐性・強〉のおかげでそこまで痛くない。
そのまま毒のダメージで敵の体力がみるみると減っていき、倒すことが出来た。
「ようやく一体か。まだ一体同じレベルのを倒さないといけないんだよな……」
倒し終わり、周りを見てみると、剣士の雑魚達の動きに統制が無くなっている。
中ボスが指揮していたので、中ボスが倒されたことで、指示が通らなくなったのだろう。
次にカインの方を見ると、既に魔法使いを倒し終え、盾の中ボスとの戦いに移っている。
やはり前回のイベントで3位に入るだけのことはある。
「さて、もう一踏ん張りするか」
そう言って残っている弓の中ボスの元へと向かっていった。
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