15話 素材集め
ルインが広場に着くと既に真昼がいた。
「すまない、待たせたか?」
「いえ、今来たばかりですよ。それでお礼の件なんですが、何か欲しい物とかありますか?」
「うーん、特にないな……」
「あっ! もしよろしければ、ルインさんは見たところ初期装備なので私に武器と防具一式を作らせてもらえませんか?」
「いいのか? そろそろ新しい装備に変えないといけないと思っていたんだ。お金と素材はこちらから出すぞ」
「お金は大丈夫なので、素材だけお願いします!」
とりあえず今自分が持っている素材の中で使える物が有ればと思い、真白を自分の家へと連れて行く。
「このアイテムボックスの中に素材は全て入っているんだが、何か使えそうな物はあるか?」
「そうですね……。あっ! これなんかは凄く良いです!」
そう言って見せてきたのは八岐大蛇を倒した時に手に入れた素材一式だった。
オリジナル装備には使った素材の特性が反映されるらしく、八岐大蛇の素材を使えば、自動修復の効果がつくらしい。
これは倒しても倒しても復活してきた八岐大蛇の頭の特性に由来する物だろう。
「しかし、これだけでは装備一式作るのには量が足りませんね……。これの後3倍は欲しいです」
―――
ということでルインは真白とパーティーを組んで八岐大蛇の洞窟へとやってきていた。
前回とは違い、敵の攻撃もボス部屋までの道のりも既に知っているので、かなり早くボス部屋まで辿り着くことが出来た。
「かなり早く着くことができましたね!」
「あぁ、このペースなら素材集めもすぐ終わるだろ」
「そうですね」
ゆっくりと扉を開けてボス部屋の中へと入って行く。
「今回は前回使わなかった酒を使ってみるか」
「それ一体なんの効果があるんです?」
「あーなんかあの蛇を眠らせることができるらしい」
「へぇー、そうなんですね」
酒の入った水瓶を地面に置くと、八岐大蛇がすぐにそれを舐め始める。
五分程すると、完全に寝てしまった。
「前回もこれ使えばよかった・・・。めちゃくちゃ楽じゃねぇか」
眠っている八岐大蛇の首は倒しても新たに復活することはない。
これなら誰でもクリアできるダンジョンだ。
「おかしいと思ったんだよな、初心者用エリアにこんな難しいダンジョンがあるなんて」
「でもここ隠しダンジョンですから、普通のダンジョンよりかは難しい設定になってますよ?」
「えっ? ここって隠しダンジョンなの?」
「はい、普通のダンジョンは運営からダンジョンの場所が公表されてますから」
そんな大事な情報すら知らない自分の情報収集能力の低さに少しうんざりする。もしかしたらまだ知らない大事な情報がたくさんあるかもしれない。
―――
何度かこのダンジョンをクリアして、集め終わった必要な素材を全て真昼へと渡す。
「3日ほど頂ければ防具一式とスナイパーライフル、ハンドガン二丁は作り終えれると思います」
「そうなのか、ありがとう。また装備が完成したら受け取りに行くよ」
そう言ってルインがログアウトしようとすると、突然後ろから真白に声をかけられる。
「あ、あの! 私と一緒のギルドに入ってくれませんか?」
「いや別にそれは構わないけど、俺の使用武器銃なのに他の奴らが入れてくれるのか?」
「あっ! すいません。少し説明が足りませんでしたね。ルインさんをギルドマスターとして新しくギルドを作りませんか? ってことです」
「でもそれだと真白にほとんどメリットがないだろ」
「私、すぐ騙されやすくて、その点ルインさんなら安心かなって。駄目ですか?」
真白がそれで良いならと思い、その話を了承する。
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