かくとうぎ?2
屋敷の中に炸裂音が鳴り響く。
此処は関東最大の暴力団、海原組組長 海原秀夫
の屋敷である。
何時もであれば静かな屋敷、しかし今現在、屋敷はこれ以上無いほどに騒がしい。海原子飼いの兵隊が手に手に銃やナイフ、ドス等で武装して駆け回っている。
「ヤッベーなぁ、見っかっちまったかあ。」
騒ぎの原因、髪を二つ結びにした少女、楓が
ライフルを連射しながら呟く。
楓は、ここまでサプレッサー付きのハンドガンによって気づかれずに敵を殺していた。しかし
サプレッサーは消耗品である。
とうとう限界を迎え、その機能を失ってしまったのだが…
「ってか弾切れより先にサプレッサー
オシャカになるとは思わなかったぜ
…不良品掴まされた…。」
そう、いくら何でも劣化が早すぎる。使い古しの中古品を、ガワだけ偽装して新品のように見せかけたものだったのだろう。
そのおかげで、予期せぬところで銃声が轟き、
敵に侵入がばれてしまった。
「クッソ。やっぱ慣れねーことするもんじゃねーな。」
今回、楓が使っている武器弾薬は楓自身が用意したものだ。いつもは調達はマネジャーに任せているのだが…
(あの駄マネ、マジで仕事ぶん投げ
やがった!!)
いや、確かに言っていたのだ。「武器の用意、自分でおねがいね。」みたいなことを。だが、
「だからって職務放棄はねーだろ!!いや、確かに目利き出来ないあたしも悪いけれどな!?って、うぉっ?」
隠れていた壁に弾があたり、とっさに顔を隠す。
先ほどから敵の攻勢が酷い。複数でこられたから
リロードの隙を突くことも出来ない。一人が弾切れになつても、他が撃ってくる。
(こうなりゃ多少の無茶は覚悟の上だ。)
ひとつ深呼吸。被弾覚悟で遮蔽物からとびだし、走りながらライフルを射撃する。今、楓がもっているのはさっき倒した敵から奪ったライフル、AK47カラシニコフ。7.62㎜弾を使用する、ソ連製傑作アサルトライフルだ。AK47はその信頼性と威力の大きさからソ連のみならず各国軍隊が採用、様々な紛争に投入され、世界で最も人を殺した兵器とも言われている。
全く頼もしい。頼もしいが…
(やつば、生きて帰れる気がしねー、
しねーけどもし万が一生還できたらあのクソマネは絶対犯す。)
相手の火線が楓を捕らえる直前、間一髪で次の遮蔽物に逃げ込む。(二人殺ったか、あと五人。もう、弾あんま無ーな。)
かなり厳しい状況である。いくらAK47が名銃とはいえ弾薬がなくなれば棍棒と変わらない。むしろ殴るのに特化した作りのぶん棍棒の方がましだろう。
(しゃーない、次のアタックでけりつけるか。)
そう決めるやいなや、楓は壁から飛び出し敵の火線に身を晒す。体勢は、なるべく低く。
敵の武器はその大部分がAK47だ。アサルトライフルは、フルオート射撃の際、反動で銃口が上にぶれる。つまり下方への射撃が苦手なのだ。特にカラシニコフは威力が大きいぶんその傾向が強い。これが熟練な兵士なら単発、或いは三点バーストといつて三発ずつの射撃をしてくる。
そうなれば銃口のぶれもクソもない。7.62㎜弾の強力な破壊力が楓を襲っただろう。しかし、
(まぁ、たかがやくざの兵隊にそこまでのことは期待できねぇよなぁ。)
敵は尚も愚直にフルオート射撃を続け、銃口を盛大に暴れさせている。
数人、ハンドガンを持った敵もいたが、それは相手がこちらを撃つ前に仕留めた。
身を低くして銃弾を掻い潜り、敵に肉薄する。
「こんにちは、そして永遠にサヨウナラ。」
悪魔じみた、いや悪魔そのものの笑みを顔に張り付け敵の中へ。混戦に持ち込むことで敵の火力を封殺する。弾の切れたライフルで頭をかち割り、敵のドスをいなし、奪い、そのドスで殺す。
楓がその場を制圧するのに要した時間は。一分にも満たなかった。