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アイドルの裏の顔?  作者: 中腸腺
13/15

スラムドック2

二人はバラックのドアを開ける


「ただいまー、マリア。土産もって帰った…………ぞ」


帰りの挨拶の途中でカエデは口をつぐんだ。

中に入った瞬間に香る、ツンとした臭い。嗅ぎなれた血の臭いだ。

その原因は


「チッ手こずらせやがって、これでもう娼婦としちゃ売れねぇな」


「阿呆、どのみちカタワのガキなんざ“中身“以外売れねぇよ。」


服を血で染めた男たち、いや、その足元に真っ赤に濡れたズタ袋になって転がるーー


「ツッマリア……………」


片足のない少女。

カエデがそれを見つけてフリーズしている間に、後ろにいたイヴァンがマリアの傍に立つ男たちにAKを向ける。斜視でガリガリの男と、ふとましい体格の男である。たしか、このスラムの半分を占めるカルーアファミリーの下っぱだ。


「…………死ね」


イヴァンの発した、死刑宣告。トリガーを引き銃弾を男たちに浴びせる。轟音に連れてきた少女たちが耳を押さえて悲鳴をあげる。

男たちが絶命したあとも執拗に弾丸を撃ち込み、アサルトライフルがホールドオープン(弾切れ)になる。こうして、復讐はあっけなく果たされた。


「…………イヴァン。マリアを」


カエデは少女たちに一瞥してから茫然自失の兄に声をかける。彼の肩を引き顔をみてーーー絶句した


狂相。


そう表現するに相応しい笑み。三日月形に薄く開かれた口が言葉を紡ぐ。


「カエデ………決めたよ、僕はマフィアを潰す。まずはそのために、力を手に入れる、誰にも負けない力を。」


彼は、カエデをヒトにしてくれた少年は、このとき



獣に堕ちた




数時間後、マリアを埋葬した二人と、家から着いて来ていた三体の元食材はある酒場の前に立っていた。ウロボロスファミリー、カルーアファミリーと双璧をなすマフィアの事務所である。カルーアファミリーとはとかく仲が悪く、抗争や小競合いを繰り返している。


「まずはここに入ってやつらを、カルーアファミリーを潰す。一人じゃできることは少ないからね。兵隊が要る、優秀で、すぐに死ねる兵隊が。」


ぶつぶつとそんなことを呟きながら、連れてきた三人の少女、否。“兵隊候補“を見る親友を見て、カエデは悲痛な面持ちで呻いた


「あぁ………そうだな、相棒」


二人が一歩踏み出す。一度踏み込んだら抜けられない、魔窟へと。





過去編終了!

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