色見本
どうして色を見せましょう。
千万色の、色見本にも載ってない、
目には見えない色ならば、
どうして色を見せましょう。
今日の夕陽は、あの娘の声は、
昨日の夜風は、私のこころは、
例えて例えて例えましても、
例えたそばから枯れてくならば、
どうして色を見せましょう。
目には見えない色を見せたきゃ、
お詩を詠うが良いでしょう。
あの娘のこころに聞こえるように、
真っ直ぐ上手に詠えたならば、
あの娘はあの日の夕陽を見るでしょう。
私とおんなじ色で、見るでしょう。
それなら私は詠いましょう。
千万色の、色見本にも載ってない、
目には見えないこの色色が、
あの娘のこころに映るのならば、
千万篇でも詠いましょう。
一色400文字の色見本、
一色一色、詠いましょう。