第97話(星)
「何か皆で遊べる物をと思って。この前買ってきたばかりの新品」
部屋の中央の床の上にポツンと置かれただけのジェンガの箱。パッケージには大きく元気よく『レッツ・ジェンガでゴー!』と。
……2人で何処まで盛り上げる事ができるんだろうか。
とりあえず寿也は進歩したらしい?
「照明を消すけど。いい?」
「え?」
寿也が、先に部屋に入ったあたしの後ろで言った。入り口の横にある照明のスイッチに手をかけている。どういう事だ?
まさか……。
あたしの脳裏に“狼に食べられる赤な ずきんちゃん”というイメージキャラが思い浮かんだ。
思ってしまったものは しょうがない!
どうしよう??
しかし。あたしのそんな様子をよそに、寿也は照明のスイッチを押して部屋を真っ暗にしてしまった。
「きゃ……」
まだ心の準備ができてない状態だったので、身がすくんでしまった。
しかも同時に目を閉じた。
うわあああ、あたし、どうなるのぉお!?
一気に、熱いものが全身に ほとばしる。そんな風に身を固くしていると、寿也が言った。
「目を開けて」
あたしは恐る恐ると……目を開けた。
「うわ……」
あたしに衝撃が走る。
プラネタリウム。
部屋はプラネタリウムと化していた。
暗い中で一つ。もう一つ、そしてもう一つと……ううん、いっぱい。点に見える光が、空間を作る。おそらくは、暗い所で光る蛍光塗料が塗ってあるか、蓄光シールのような物でも点々と貼ってあるんだわ。
四方八方に散りばめられた星。
それぞれは個性を持っているの。光なの。エネルギーなの。だから強く感じるのよ。
それがいっぱい存在してるの。宇宙なの。あたしはここに居るよ……。
あたしもそれに入れて……
「きれい……星が部屋中に……」
ちっとも知らなかった。前に勝手に入った時も気がつかなかった。
「僕の秘密その1。でもこれは、まだ最近にした仕掛け」
あたしが振り返る。寿也も天井の方を見たりして、嬉しそうだった。
「その1?」
「その2は……」
少し、元気を無くしてしまった寿也。何故だか わからないけれど黙ってしまった。
どうしたんだろう。
あたしはテンションが上がって寿也に明るく微笑みかける。
「すっごいね! だから部屋には何も置かないとか? ただの気分とかじゃ無かったんだ。あたし変人なんだとしか思わなかったよ。言ってくれたらよかったのにさ。いつも何も言ってくれなかったんだから〜。でもでも! 千歳くん要素のおかげで、寿也完全体になれたもんね。何かカッコイイ。正義のヒーローみたーい!」
適当な事を言う。でも嘘では無い。
伝わりましたでしょうか?
あたしはバンザイまでして寿也に気持ちを伝えたんだけれど。どうでしょうか? ミルキーボンバーの寿也くん?
……しかし、寿也に これといって変化は無い。クスリとも笑ってくれなかった。
どうして……?
「寿也……?」
あたしの前で。あたしたちは突っ立ったまま。
星に囲まれて。寿也が こしらえた空間の中で。
無言の時間が過ぎていく。