第9話(お見舞いです)
あたしは一週間ほど、家で寝込んだ。原因不明の熱。先生は大慌てだ。
あたしがミルキー星人だという事が引っかかって、病院も行けなければ下手に薬も飲めやしない……。
先生は校長に懇願し、学校をしばらく休職する事にまでした。
何だこのバカ親っぷりは……嬉しいけど……と あたしは熱に うなされながら数日を過ごすと、次第に熱は下がっていった。
ミルキー電波の影響。きっと慣れれば たいした事は無いんだ。
早く復活して、学校に行かなきゃ。寿也に会いに。寿也に……。
「お見舞いに来たんだけど」
あたしは、パチっと目を開けた。上半身を起こすと、ドア先に寿也が立っていた。
まさかそっちから来てくれるだなんて。
「コレ、ハーブティー。風邪に効くやつ」
持ってきた袋を先生に渡した。いや、風邪では無いんだけど。
「似たようなもんだ。後で飲んでみな」
あれ、あたしの心を読んだ?
寿也はあたしが寝ている布団の足元に正座した。しばらくお互いに黙ってしまったんだけど、やがて先生がハーブティーを入れて戻ってきたので、あたしは寿也がミルキー星人だという事を先生に説明した。
そうしたら。
先生は少し顔色を変えた。
「由高。お前、やっぱり真木と付き合っているのか?」
先生はサラリと爆弾着火発言を。
「いいえ。ケンカには付き合ってもらえませんでした。今日ここへ来たのもクラス代表」
火が消えた……。
「そうか……少し安心したな。もし付き合っているんだったら、真木に すまない事になる」
「え?」
今度は あたしが返事をした。
「海外へ行こう、真木。お前が倒れている間、友達のツテをまわって調べて、頼んできたんだ。俺は教師を辞めて、お前のために研究チームに入る事にした」
けけけ研究っ!?
「研究チームに入るって……あたしのために!? 頼んできたって、一体何処に……」
得意満面の笑みを浮かべ、人指し指を立てた先生。大きな声でこう言った。
「オーストラリア! MWS調査チーム。MWS……ミルキーウェイ星人だ!」
えーっと、つまり。
……あたし、オーストラリアに行くのっ!?
「行ってらっしゃい」
あっさり寿也は言った。
ちょっとは、引き止めてよ!
【あとがき】
岩生学級は、平和ですね。かなり。




