第70話(アルペン)
深緑のタートルネックに、茶色のトレンチコートの男。肩幅がガッチリしていて、引き締まっていた。
しかし、坊主。
「あ、悪徳明神!?」寿也が言い放った。
「誰がだ。クソジャリ」寿也の言葉も あながち外れていないような気がした。
「アルペンじゃないか〜。はるばるオーストラリアから? 元気?」
真さんが入り口からそのアルペンという男に話しかけた。あたし、再起不能中で倒れたまま。でも声だけは聞こえていた。
「真。表へ出ろ」
威厳のある声が地に響く。真さんは言われた通りに外へと出た。
そこに すかさず!
ヒュンッ!!
坊主、もといアルペンさんの鉄拳が空をかいた。外へ出た真さんを襲った痛そうな一撃は、鮮やかな真さんのステップにより上手くかわされてしまったようだ。
しかも真さん、後ろにそのまま体を倒して拳をかわしたかと思ったら。もたれかかった機体の弾力を利用してボヨンッと、跳ねて体を起こさせた。
その反動を利用して。
ボグッ。
……。
……と、真さんの突き出したパンチが、アルペンさんの鼻上にヒット。
アルペンさん、後ろ遠く5メートルくらい吹っ飛ぶ。
……うわあ……。
あたしは倒れていて正解だったと思う。寿也は しっかりと、その光景を目に焼きつけた。
真さんはイエイ! とばかりにガッツポーズを。
「さすが伝説の男、俺!」
パチッと、ウインクした。
【あとがき】
気絶しているのに真木が説明をしているという、
また型破りな事を……。
ユーレイ真木の探偵ファイルという事で。