表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/100

第6話(『放課後の教室2人きり大作戦』)

『由高寿也』


 彼は、嘘つきだ。そして、独りが好き。

 時々、読書をしている。何の漫画かと思って覗いてみたら『ライアー・ウルフ』……。


 ……あんたにピッタリだよ。


 あたしは普通に小学生生活を送っている。もう以前の悩みは何処かへ行ってしまった。まるで以前は病気中だったみたいだ。由高くんの言った事が本当になる。

 あたしが美少女であっても皆は次第に慣れていくのだ。その事を言ってくれていた由高くんには感謝しないと。

「ぎゃっ」

 ……由高くんの足に引っかけた。由高くんはわざとその華麗な足を出してあたしを転ばせた。

 おかげで、ズッコケる。しかも、ぱんつ丸見え。

「防御しろよ。短パンガード」

 し、白いレースのぱんつを見られた。今日に限ってスカートの下に短パンを履いていなかった。ふ、不覚。

 時々思う。……あんた何なの小学生。


「真木ちゃんてさぁ。由高くんと付き合ってんの?」

 女子は噂話が大好きだ。あたしもそれに加わっている。

 今日の話のネタは、あたし。…………逃げたい。

「 … … い い え 。 そ ん な 、 わ け が 無 い 」

 やけに機械がかった声を発した。そう否定すると、さらに女子は騒ぐ。「うっそだぁ」「ラブラブだよね」と。

 ラブラブ? ブラブラの間違いでないのか。


 ついに女子の一人が はた迷惑なオッパッピー的発言を提案した。

「試してみちゃおうか」

「何をぅっ!?」


 名づけて、『放課後の教室、2人きり大作戦』。


 あたしはその名の通り、教室に放課後 置き去りにされた。

 由高くんを放課後 教室に赴くように仕向けるから、そこで待てと言う。

 一体どうやってあの由高くんを……と思いつつ、教室で待つ。するとアッサリ由高くんは やって来た。

「何かご褒美でもくれんの」

 ガラッ。

 由高くんの声とドアを開けた音は同時だった。まるでここにあたしが居る事を始めから知っていたみたいだった。

 わけがわからず様子を見ていると、由高くんは近づいて来てバンッ! っと机に手をついた。手の下には、一枚の紙が。

 ええと、何なに?


 紙には、『来たよ 歌 下 立つ 二体 竹』と……そして紙の下の方にカワイイ タヌキの絵が描かれていた。要するに……タヌキ?

 『タ』を抜いて読むと『きようしつにいけ(教室に行け)』

 ……ですわな。

 ちょっと何ソレ あたしに この後どうしろってんの。

「えええと、ととと寿也くんの頭脳っぷりを試そうかと」

 ……かなり冷や汗が。何て苦しい言い訳だプリンス(気が動転)。

 しかも うっかり名前で呼んでしまった。まあいいや。

「子供でもすぐ解ける。それより、何か用」

 だから、寿也くんの頭脳っぷりを……。

「無いなら、付き合え」


 はい?


 あたしは目が点になった。

 教室の外でカラスがカーと鳴いた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ