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第57話(現代に戻った後の話)

 買い物からキャリーバックを引いて家へ帰って来ると、寿也が出迎えてくれた。

「あれ? 他の皆は? 寿也一人?」

 部屋に入ると寿也が寝ていた布団は片付けられていて、コタツが用意されていた。上にはミカンが小さなカゴに数個入って置いてある。

 まだ体が完全でない寿也は、お留守番だったのだけれど。先生たちは何処へ行ってしまったのだろうか。部屋には寿也しか居なかった。

「学校から電話があって先生は学校。真さんは さっき戻って来た綾島さんとどっか行った。千歳はまだ戻って来てない」

「そう……。じゃ、おでん作るよ」

と、あたしは買ってきたものを袋から出し始めた。

 台所で食材を広げたり冷蔵庫にしまったりしていると。コタツに入ってボーっとTVを観ている寿也が話しかけてきた。

「真木」「ん?」

「どうやって僕を助けに来れたんだ? 過去まで。ずっと引っかかってた。僕が過去の何処に居るのかは わからなかったろ?」


 寿也の言う通り。

 寿也と離ればなれになって あたしだけが現代に戻った後の話。

 たまたま、真さんと のどかさんが乗ったタイムマシンが来てくれて、これで寿也を助けに行けるぞと大喜びした あたしは。



「……で? 寿也くんは。何年何月何日地球が何周回った時に、居るんだい?」

という……真さんの指摘と書いてヒコウを突いた質問に、ヤラレてしまった。

 そんなの、わかるわけない。

 ああ、寿也は一体何処に居るの!?

 あたしはパニックになって、その場にへたりこんで四つんばいになった。


 絶望。

 あたしの頭の中に、その2文字だけが仲良く笑っている。手を繋いで。


 手を繋いで?

「ああ!」

 あたしの頭上に閃きのマークが。あたしは一つの可能性を思いついたのだ。

「千歳くんと手を繋げば、過去へ行けるかもしれない!」


 イチかバチか。


 あたしは、初めてミルキー電波を発信する。

(「千歳くん……! 千歳くん、聞こえたら返事して!」)

 初めてだし上手くできるか……。精神を集中して、何処に居るのか わからない千歳くんに呼びかけた。

 発信できているのだろうか。自信は無いけれど。

 あたしは焦る気持ちを抑えつつ、待った。


 アッサリ返事がきた。

(「真木さん? わあ、何だか嬉しいな。寿だともっと嬉しいけど」)

と、明るい陽気そうな千歳くんの声が。あたしはシメタと思った。

(「まだ電波には慣れてないの。とにかく、千歳くんに会いたい。今、何処?」)

 また熱を出してしまって倒れたら厄介だ。用件だけを手短かにしたかった。

(「何処って校門前だけど……寿、一緒? 会えるかなあと思って」)

 それを聞いて、あたしの胸は躍った。

(「今すぐ行く!」)

 あたしは真さんに話し、タイムマシンごと外の校門前へ!




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