第53話(繋がり)
現代に戻った一行。
寿也を真木の家へ運んだ後。布団で寝ている寿也を取り囲み、それぞれが座っていた。心配そうに、寿也の様子を窺っている。
UFOもといタイムマシンは、背犬川をずっと下った先の湾の中に沈めて隠してある。
水陸時空を自由自在に移動でき、まだまだオプション豊富な乗り物。マシン。MWS調査チームが誇る、素晴らしい乗り物だった。
真がかつて言っていた『スゴイモノ』が、コレを指すかは……わからないが。
「なるほど。澤田蝶子さん、ね……」
真さんが腕を組んで頷く。あたしの真正面で、寿也を挟んであたしの話を聞いてくれていた。
「知っているんですか?」あたしが聞く。
「ボスの娘さんだ」
「総括長の娘さんね」
同時に真さんと のどかさんが答えた。「総括長ぉっ!?」
コホンと、真さんの隣で のどかさんが咳払いをした。
「私たちチームのボスよ。その娘さん。知らなかった、そんな所に繋がりがあったのね。ボスも娘さんも人間だけど、素晴らしい人たちよ。……寿也くんのお母さんの事を聞きつけて、助けようとしてくれていたのね、きっと……なのに」
ぎゅっと、下口唇を噛んだ。その先は言えない。
「仕方無いさ。済んだ事をどうこう言っても。もうわかった。今さら これからもう一度 木葉市へ行って、知られたくない過去をほじくり返すつもりなんて無いよ。……それより真木ちゃん」
真さんが真剣な目であたしを正面から真っ直ぐに見た。
「は、はい」
一瞬たじろいだが、またトイレを借りるんじゃ……と、心の中で思っていた。
しかし違う。真さんは少し何かを考えていたみたいだけれど、やがて決心したみたいに改めてあたしの顔を見た。
「君はミルキー星の、リリン王女なんだよ」
…………。
へ?
あたしはズッコけてみせた。
「やめて下さい。こんな時に冗談は……」とあたしは しょーがないなあと いった顔で起き上がってみたが。
雰囲気が重かった。皆、黙っている。
誰一人、笑っていない。「え、ちょっと……」
あたし一人だけ、空気が違っていた。明らかに。
え。どうして。何で。
だって、冗談なんでしょ。
「嘘じゃないんだ。真実。寿也くんも知っている。黙っててゴメン」
真さん、素で そう言った。
あたしの背中に冷や汗が。
「……ホントに? ……ホントに、あたしが……王女……?」
まだ信じられなかった。
すると、あたしの隣に並んでいた人物たちが大きな声を上げた。
「真木がおうじょーーーっ!?」
「寿も知ってたんですか! スゲー、王族が間近に!」
先生と……。
千歳くん。
あたしはまだ聞いてはいない。あなた、寿也の双子の兄弟なの? ……と。