第52話(回収)
「寿也ぁっ!!」
…………?
……
……真木?
突如、うつ伏せに倒れていた寿也は自分の体がフワッと浮き上がるのを、感じた。
驚いて反射的に目を開ける。
川原の地面が、遠ざかっていく!
……どうなっている??
と、寿也は混乱した。すぐ間近で明るい声がした。
「寿也しっかり! 迎えに来たよ!」
寿也は声のした方を向く。
やっと現状が飲み込めた。
以前に真木と居た時に、2人の前に現れた……球の周囲をリングが取り巻く形をしたUFO。今 見ると、丸い窓が一つ球の表面に。その窓の中、心配そうな真木や真の顔が見える。
そしてさらに。
こんなもの前には備え付けて無かったはずの機体、球の側面から……太いアームが一本グイーンと伸びていて、その先の『手』に寿也の体はガッチリと掴まれていた。
名前の通り、『UFOキャッチャー』。1プレイ100ミルキーで どうだ。
「……」
どうやら僕は助かったんだな。真木も……。
と思った途端、一気に全身の力が抜けた。
心底ホッとして、寿也は次第に意識が薄れていった。「寿也あああ!」
真木が元気に泣き叫ぶ。
(やかましい……)
反面、寿也は心の中だけで少し笑っていた。
寿也はグッスリ眠りながら変な夢を見る。
真木が自分に向かって土下座する夢。
「勝手に部屋を見てしまい、申し訳ございませんでした!!」……
深々と両手を地面につき、頭も地に伏した真木。格好は、あまりよろしく無い。
いやしかし。
「ああ、そうだな。忘れてた、そんな事」
寿也は真木に言ってやった。
「今度ウチに来たら、キャベツ占いをしよう」
母さんいわく、春キャベツが好ましいぞ、と。付け加えておいた。
【あとがき】
キャベツ占い?
床に皆でキャベツを叩きつけて かち割るんですよきっと。
「大吉!」