表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/100

第34話(違和感)

 「まあ同感だな。ミルキー電波も周囲に筒抜けじゃ、使えないし」

 そうである。ミルキー星人同士でしか受信・発信・通信できないミルキー電波の会話は、外部から隠す事は不可能。

 真木的に言うと、便利なんだか どうなんだか。

 ……便利だと思うけど? NO! パソコン・GO! ミルキー。ビビビビビ。

「で、何の話なんだい?」

「木葉村の事なんだけど」

 ああ、キバシね、と真は補足した。「違和感無かった?」


 真の表情が固くなる。寿也の一言にとても驚いた。

「気づい……てたのか?」

「一応。でもどうする事も出来なかった。真木たちが居たし」

「謎が増えたな」

「まあね」

 真は寿也から顔を背けて手を組んで考え込んだ。

「妙だと思っていた……急成長は、いいとして。村の情報が出て来なさ過ぎだ。記録が全く無いし。村だぞ? ……人口300人ほどの。市になったのは、たった数年前かそこらの昔の事じゃないか。何故こんなに手ごたえが無い……」

「同じく。だから変だと思って。市になる以前の村の姿が浮かんでこない。たぶんコレって」

隠蔽いんぺい

「言葉が難しい。隠し事、って言って」

「ああすまん。何だか寿也くんと話していると、ついつい向こうの仲間と会話しているみたいでな……寿也くんが小学生だという事を本気で忘れるよ」

「雰囲気で語意をつかむから、ご心配無く。隠蔽、って、別に昔 悪事があったとは限らないけど」

「うーん……」

 今度は腕組みに変える真。

「まっ、昔に何かあって、知ってても教えてくれなかったという事だ。以上」

 ポンとヒザを打った。いいのか そんなんで……。

「宇〜宙は〜、せ〜ま〜い〜♪……」替え歌まで歌い出す始末だ。


 それを遮って、搭乗案内のアナウンスが流れた。

「おっと。もう行かなきゃ……寿也くん」

「はい」

「真木ちゃんたちには、王女の事、内緒のまま?」

 一呼吸 間を置いて寿也は「……はい」と返事をした。それを見て、真は少し安心したかに見えた。

「その方がいい。まだ何も わかって無いうちから混乱させるような事は……ね?」


 特に岩生だ、と真は思った。岩生なら、真木を本当に檻に入れてしまいそうである。気の毒だ、真木が。

「実は……あの時。ホテルで真木とババ抜きポーカーやってた時」

 ババ抜きとポーカーが一緒にされている。そんな事はどうでもよい。

「真木に教えようか……迷ったんだ」


 真木、お前は王女なんだ。

 ……だから何?

「……言わなくて良かった」

 地雷を踏む所だったかもしれない。そんな風に思えた。


「寿也くん」

「はい」


 すると真は いきなり立ち上がって、寿也の体を持ち上げた。「うわあああ!」

 見よっ、慌てる寿也を。本日初公開……だったのだろうか?

『高い高い』をされた。寿也の足が浮く。

「はっはっはあー! 軽い軽い」「……!」

 周囲の大注目を浴びる。


 ……ストンと、寿也は やっと地面に下ろされた……。

 一気に疲れた顔になる寿也を前に、さらにピースサインまで。

「今度こっちに来る時は、スゴイモノを持って来るつもりだから。よろしく!」

「何を……」

 何を企んでるんだオッサン、と寿也は脱力した。

「それじゃあ、俺は行く」

 歩き出そうとした。忘れる所だったが、彼はこれからオーストラリアの仲間の元へ帰るのだ。飛行機に乗って。


「そうそう。わかってると思うけど」

 最後に、真は忠告を残す。

「ミルキー通信は外部には筒抜けだから。気をつけるよーに」


 スゴイモノ。

 まさかミルキー星を丸ごと持って来るんじゃないだろうな、と寿也は一瞬思った。



 その直後だった。


 真の乗ったと思われる飛行機墜落のニュースが駆け巡った……日本中を。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ