第17話(輝くケチャップ)
ミルキー星人の血は白い。
あたしは知っていた……というより、血は白いものだと ずっと思っていたのだ。
だから吸血鬼の映画を観てもジェイソンの映画を観ても、みんな何で頭からトマトジュースが出ているんだろうと本気で考えていた。
それを先生に尋ねた時、先生は とても優しい眼差しでこう言った。
「たまに、アセロラドリンクの時だってあるんだよ」
「へー」
……その後、全ての真実を知った時。あたしは怒り狂って先生をグーで殴った。
先生の口から輝くケチャップが飛び散った。
「……カルピスじゃないよね。それ……血」
あたしは呆然とそう言った。
血が白い事がその証明。
彼は……佐藤くんは……。
「……同士。俺もあんたらと同じ、ミルキー星人だよ」
ゆっくりと立ち上がる。手すりを背に、あたしたちと向かい合わせになった。
「寿。さっき頼んだ事だけど。返事は?」「ノー」
とても嫌そうな顔で寿也は返事をする。
「そうか……でもまだ諦めない。せめて、メアド交換から始めてみないか」
んん? メアド交換?
「嫌だ。用があるなら電波で来い。気が向いたら返信してやる」
「本当か?」
「僕は嘘は、つかない」
あたしは「プッ」と背後で笑った。「何がおかしい」と寿也は軽くあたしを睨む。
ゴメンゴメン。そのセリフをまた聞くとは思わなかったもんで。
「メアドくらい教えてあげたっていいじゃん。ミルキー電波って、慣れるまで大変だし。そんな露骨に嫌がらなくたって」
と、あたしが口を出した。すると佐藤くんは胸に手を押し当て、とても眩しい瞳で あたしを見た。
「君もいい人なんだね……真木さん」
「ええ、はあ、どうも。……あ、そうだ。何であたしの名前を知っているの?」
あたしはずっと秘めていた疑問を問う。
「寿と君とのミルキー通信を盗み聞きしていたんだ。ホラ、寿が嘘つきとかどうとか言ってた時の」
ああ……あれ。
「筒抜けだったんだ……気をつけよ」
あたしは誓う。便利だけど、秘密な事には使えないんだな。
「俺は君にも興味があるんだ。寿には断られてしまったけど、ぜひ君も、
解 剖 さ せ て 欲しい」
……
あたしの動きが止まる。
は?
今 何て。
「大丈夫。調べたらちゃんと元の体に戻すから。安心して」
……できるかい!!
【あとがき】
ミルキーの血は外部に触れると白くなるんです。