表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/100

第16話(正体?)

 寿也が危ない。あたしは焦った。

 あの寿也が、助けを求めている。あの寿也が。

 手からミルキー棒を出す事の出来る、あの寿也が。


 バーン! あたしは屋上のドアを開け勢いよく飛び込んだ。「寿也!」


 あたしが目にした光景とは。

 寿也と、前に校門で会った佐藤千歳とかいう少年。彼が、寿也に襲いかかろうとしていた。

 左手で寿也の襟首あたりを、右手でハサミを持っている。

「な、な、な、な、……!」

『な』がいっぱい。

「何してんのよぉーーーっ!」

 あたしは猛突進して体ごと ぶつかっていった。ドーーン!

 佐藤くんの体は そばの手すりにぶつかった。「痛っ……!」


 イタイ。

 痛みを微かに感じた。ジュリエールの衣装のままだったあたしは半袖だったのだけれど。体当たりした時にハサミでサッと腕を引っ掻いたようだ。一筋の線が走る。

「真木ィィィ! 大丈夫かあああ!」

 親ばか教師・岩生先生の登場。

 完全に あたしの先行く足に遅れをとっていたが、日が沈む前には辿り着いたようだ。ゼエゼエと息を切らし髪を乱し、何故かシャツをズボンから はみ出している。

「あたしは平気よ! 寿也 大丈夫!?」

 あたしは寿也の両肩をグワグワ揺さぶった。

 激しく前後する寿也の体。

「もう少しでお前に揺れ殺される」

「あっ、ごめん!」

 パッと手を放すと、寿也はヨロリと立ち上がった。

「メトロノームの気持ちが体感できた」

 少し頭がフラつくのか、気分が悪そうに見える。「寿也ぁ……!」


「見ろよ真木。こいつの正体」


 ……寿也が指さした方を見て、愕然とした。


 ポタリ。


 佐藤くんの腕から、血が。

 どうやらハサミで誤って突き刺してしまったらしい。

「……」

 佐藤くんは黙ったままだった。

 痛そうだ。

 いや、それよりも。



 血が……白い。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ