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第10話(ネットカフェ午前3時)

「別に無理に来なくたっていいんだぜ。だってお前は人間。俺らみたくミルキーじゃねえもん」

「いや、もうジッとしているのは嫌だ。俺もそっちへ行って、ミルキー通になりたい。仲間に入れてくれ」

 ……インターネットを通じて、そんな会話がなされていた。

 ネットカフェ午前3時。真夜中に。教師・岩生は現在オーストラリアに滞在している親友、常野じょうのまことに連絡をとっていた。

 2人の会話からお分かりのように、常野はミルキー星人。岩生は違う。

 2人が出会ったのはもうかなり前の事。なんと、岩生 生後8ヶ月。

 まだベビーカーにのっていた頃、公園デビューで初めて出来た友達だった。「俺、マコト。ミルキー星人。君は?」「イワオ。人間。よろしくね」

 ……という会話があったかは知らない。

 ご近所同士の付き合いで、2人はとっても仲良しだった。


「懐かしいよなァ。昔は色々 無茶苦茶やったっけ」

「そんな昔話に ひたっている暇は無いんだ。家で娘が待っている。それより答えてくれ。今は存在しないはずなんだな? 『衛星リンス』は」

「おうよ。もうほぼ無いに等しいと思うぜ、何処探しても。……でも変な話だな。お前の娘の話も」

「……ああ」

「真木ちゃんていったっけ。今度会いに行くよ」



 先生たちの話はここまで。今度はあたしよ。

 軽井真木。小学5年生。

 熱がやっと下がって、学校へ元気モリモリに登校。あたしは普通に教室のドアを開けた。

 そうしたら。

 パーンッ!

 爆発音がした。


 そしてあたしは紙テープと紙吹雪まみれになった。

 ……天井に向けてクラッカーを放ったのは。

「復活おめでとう。真木コプター」

 ……寿也……。

 何その道具みたいな名前……。

「そういったら飛べるかなと思って」

 そんなわけない。意味わからん発想。

「真木ちゃん、久しぶり!」「元気そうね、よかったぁ!」

 寿也の体をドンとどかして、友達数人が集まって来てくれた。

 じぃぃぃいいん……! あたしは例えようのない喜びに襲われていた。あたしを心配してくれる、友達! 優しい言葉をかけてくれる、友達!

 ああこれが友達なんだわ! ……あたしの目の端に涙が溜まっていた。

 そして、感きわまってバンザーイ! と……。


 ……手を上げた所で、あたしの動きが止まった。

 教室の後ろにある黒板。

 大きく、こう書かれている。


 校内学芸会 演目『ロミオンとジュリエール〜愛と悲しみのハテ〜』

 主役 ロミオン 由高寿也

 主役 ジュリエール 軽井真木  以下略



 ……あたしはバンザイのまま奈落の底へと落ちていった。





【あとがき】

 ジュリエール。

 ティッシュのメーカーみたいだ。



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