表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/56

魔剣

「どうかな?ジューゴ君」

「はい。美味しいです。特にこのマケドリウスの網焼きが香ばしくって・・・」

「いやいや、そうじゃなくて、私たちの仲間になってくれるかどうかという事なんだが・・・」


目の前に居るのは冒険者たちのリーダーのエオリアだ。

約束通りに飯を奢ってくれたのはイイのだが、さっきからしつこく勧誘してくる。

原因はオレ一人で倒したオークの数だ。

エオリアは素手で4匹のオークを倒したオレを仲間に引き込みたいらしい。

エオリアにはオレが倒したように見えただろうが、実は違う。


箱庭の管理者のスキルの効果は”身体能力の向上”だ30%増しになった持久力のオレを街から延々と追いかけてきて疲れ果てたオーク達。

更に敏捷性と反射速度も30%増しのオレには攻撃が当たらず、更に疲労したところに反撃をくらって倒れたのだ。殴り倒したというか、疲れて倒れたというわけだ。


・・・という訳で過度な評価だが、わざわざ否定する必要は無い。


「そういえば武器を買う金が無いって言ってたね。どうだろう?我々の仲間になってくれれば魔剣を提供しよう」


迷いながらも首を縦に振らないオレに痺れを切らしたエオリアは、今度は物で釣る作戦に変えたようだ。

しかし、魔剣とは・・・何だか仰々しい名前の物を出してきたな。

流石に興味を引かれる。

食べるのを中止して「魔剣って?」と聞くオレに、エオリアはニヤリと笑みを浮かべた。

「魔剣を知らないとは・・・。ジューゴ君は本当に変わった男だね。

だからこそ興味を引くんだが・・・。魔剣と言うのは正確には吸魂石がはめられた剣の事だ。その剣で魔物に止めを刺すと魔物の魂が吸魂石に封じ込められる。すると、魔物の魂の量や質に応じて剣の形状が変わると言うものさ」


聞き入っているオレの様子に満足そうなエオリアは説明を続ける。


「まぁ、平たく言えば魔物を倒せば倒すほど強くなる剣だ。どうだ?いいだろう?これを武器屋で買うと2000ゴルはするんだが、これを君にあげようという事だ」


うーん・・・。頭の中で自由と束縛を天秤に掛ける。

色々と考えた結果、エオリアの申し出を受ける事にした。

手持ちの金も心許なくなってきたし、誰かと行動する事で新たに情報を得る事もあるだろう。


「・・・わかりました」

「おお!引き受けてくれるか!では、早速装備を整えよう!」


エオリアに連れられて武器屋に向かい、約束通り購入した魔剣を手渡される。

それにしても初めて会った人間に、およそ20万円の高額な品を気前良く渡すなんて・・・持って逃げたらどうするんだろうか?

とにかくオレは魔剣を手に入れた。

柄の部分に丸い石がはめられた短剣だ。

石は見ていると吸い込まれそうな黒い色をしている。


「では早速、明日ギルドで依頼を受けよう。そうだな、ちょうどいい依頼・・・ゴブリンの討伐などが有ると良いんだが・・・」


明日の朝、ギルド前で落ち合う約束をして、オレは部屋に戻った。

異世界の物は部屋に持ち帰れないので、今は手の中に魔剣は無い。

しかし、それを持っていた感覚はリアルに残っていた。

明日か・・・。

・・・学校どうしよう。約束したからには学校はサボるしかないな。

早速現れた束縛の弊害に困りながら、まぁ、本当に困ったら抜ければいいかと軽く考えていた。

その時には魔剣は返さなきゃいけないんだろうな。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ