スキル判定
初仕事の報酬は、50ゴルだった。
物価と照らし合わせると1ゴルおよそ100円くらいなので、報酬は5000円だ。
ちょっとしたバイトと言った感じだ。
「んじゃあスキル判定だったわよね。やり方は簡単!このスキルスクロールに、えい!って念を込めるだけでいいのよ。そうすると、キミが持ってるスキルが浮かび上がってくるの」
どういう原理なのか、気になりつつも言われたとおりに、えい!っとやってみる。
すると、文字が浮かび上がってきた。
何と日本語だ。そう言えば気にもしていなかったが、喋っている言葉も日本語だ。
まぁ、こういうのは気にしてもしょうがない。
そんな事を考えていると、ボンヤリとしていた文字が次第にハッキリしてくる。
そこには「箱庭の管理者」と書いてある。
なんだこれ?と思いつつ見ていると、その効果を説明する文字が後を追うように浮かび上がってきた。
・箱庭の管理者 Lv1
(身体能力の向上 30%↑)
悩んでいると、受付嬢のお姉さんが後ろから覗いてきた。
「わ!なにそれ!1つしかない!っていうか、初めて見るスキルだー!」
お姉さんが言うには、オレの様な駆け出しでも普通は5,6個はスキルを持っているものらしい。
しかし、すぐにお姉さんの興味は初めて見るスキルに移った。
興奮した様子で話すお姉さんの話を要約すると・・・
スキルとは何かの行動を繰り返す事で得ることが出来る物だそうだ。
例えば、剣を持って素振りを繰り返すと”斬撃 Lv1”というスキルが身につくらしい。
スキルが発現する事で”素振りを繰り返す”という努力が報われ、恩恵を受ける事が出来るという仕組みだそうだ。
”斬撃”のように発現条件の分かっているスキルも沢山あるが、新たに発見されるスキルも有るらしい。
オレが持つ”箱庭の管理者”というスキルが新たに発見されたものかもしれない!と興奮した様子のお姉さんだったが、オレがスキルの発現条件を知らないと言うとガクッと肩を落とした。
「発現条件まで分かっているならスキル発見者として登録されて、国から莫大な恩賞が貰えるのよー。それが役に立つスキルなら有名人にだってなっちゃうんだからー」
そう言われても身に覚えがないので仕方が無い。
「すみません・・・・」
「あはは。いいのよー。でも、もし、思い出したら私の所に来てね?登録申請してあげるからー」
「はい。わかりました」
お姉さんに礼を言って冒険者ギルドを後にする。
早速、聞いた話を試してみよう。
歩きながら武器屋を探す。剣を買って素振りをしてみよう。
・・・と思ったが、手持ちの金では剣は買えなかった。
剣の値段は一番安いのでも100ゴル。
50ゴルだった手持ちはスキル判定と買い食いしたオッフラのせいで、今や39ゴルになっていた。
オッフラは1つ5ゴル。
結構なボリュームでお買い得だ。