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それはどこかで願われた。  作者: 津森太壱。
【それはどこかで願われた。】
2/32

00 : お互いに誰か知らない。

ようこそおいでくださいました。

初めましての方もそうでない方も、こんにちは。


たまに造語がありますので、お気をつけください。





 おまえは力があるのか。

 と、驚いた顔でマルを見下ろしたのは、母だったのか父だったのか。それとも両親揃ってのことであったか。

 そうか、力があるのか。さて困ったな。

 言葉のわりにはそうは見えなかったが、そんな態度を取られた気がする。

 なんのことを言われているのか、その当時はまったく理解できなかったが、あるときふと突然、目の前に黒い外套を羽織った国の役人が現われて、マルの世界は一変した。


 マルは魔導師になった。


「は!」

「! うわ吃驚した……いきなり起きるなよ」

「死ぬかと思った」

「水ん中で気絶してたら、そのうち死ぬだろうね」

「助けてくれてもいいだろう」

「濡れたくないもん」

「なら起きたことに驚くな」

「死んだかと思って」

「薄情者だな」

「どうも」


 死にかけていたせいか昔の夢を見ていたらしい。いや、あれは走馬灯というのか。危なかった。とにもかくにも息を吹き返すことができて幸いだ。しかし、全身びっしょりと濡れていては、気分は急降下する。


「この湖、あんたがやったの? それならただの水溜り……にしちゃあ、でか過ぎるけど」

「ああ、わたしがやった。うっかり巻き込まれたが」

「自分の力に巻き込まれるってどうかと思う」

「わたしも不思議だ」

「こんなとこに湖なんか作っちゃって……どうすんの、これ」

「山火事を止めようとした結果だ。この結果がどうあれ、文句を言われる筋合いはない」


 ぐしょぐしょの服をどうしたらいいものかと考えながら、裾や袖を絞っていくらか水気を切る。そのくらいで乾くわけもないから、さっさと宿に戻ろうと思う。


「まあ確かに鎮火したけど……ところで訊きたいことがあるんだけど」

「なんだ」

「あんた誰?」

「偶然だな、わたしもそれは訊きたいと思っていた。きみは誰だ?」


 さっさと戻って沐浴して、さっぱりと着替えて寝台で眠ってしまいたい。

 だのに、要らない疑問が増えた。







誤字脱字、その他なにかありましたら、こっそりひっそり教えてくださいませ。


*18話から視点が変わります。

 それまでは恋愛要素がぺらぺらです。

 ゴメンナサイ。

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